半導体レーザ光源を最適化するビーム混合法の改善

D・ウイルソン、R・ディスターベルク、L・スー、J・スキッドモア

新しいビーム混合法を採用した共通パッケージ単一エミッタ半導体レーザ集合体は、直接励起半導体レーザ光源と高出力ファイバレーザポンプ光源への新しい低コスト化アプローチになる。

高出力で高 輝度(放射エネルギー>3MW/cm2)のファイバ結合半導体レーザポンプモジュールは、ファイバレーザや直接励起半導体レーザ用の部品として、医療やグラフィックアートの用途ばかりでなく、溶接、切断、エッチングなどの産業用途にも使われている(1)。複数の単一エミッタと共通のファイバピッグテイル出力とを空間的に結合した半導体レーザポンプ光源は、輝度と発光効率が増大し、サイズが従来の半導体レーザバーより小さいため、魅力的な存在になっている。ファイバレーザの場合、高出力/輝度の半導体レーザポンプは、利得ファイバ長の減少、ファイバ混合器の数量の低減、フットプリントの小型化、ファイバ管理の簡素化、増幅器段の排除(設計に依存する)、性能の改善、全体システムコストの削減などの利点が得られる。
 単一エミッタの集合体を用いるポンプ素子は、パワー変換効率(PCE)が高く、半導体レーザの信頼性が立証されているため、一体構造の半導体レーザアレイを超える利点が得られる。直接発振半導体レーザには、レーザバーに比べると、隣接エミッタ間の熱的クロストークが無視できるほど小さい、故障エミッタのカスケード接続を保護できるといった利点がある。熱効率の向上を目的にした「環境グリーン化」の動向は、より高い実装温度での半導体レーザ動作を要求しているが、熱拡散の大きい分布型アーキテクチャを用いることで、その実現が容易になる。さらに、分布型アーキテクチャから得られる高いPCEによって、より低い温度での接合が可能になり、半導体レーザの信頼性が改善される。

ビーム混合法

市販のファイバレーザの多くは単一エミッタポンプを採用しているが、単一エミッタビームの混合法が進歩し、105μmコアファイバからの最新の性能レベルは100Wの出力パワーにまで向上している。これらの方法には波長多重化、偏光多重化、空間ビーム多重化(最近多用されている方法)およびこれらの組み合わせが含まれる。空間ビーム多重化の場合、半導体レーザは「階段」状に積層され、出力放射の空間多重化が行われる。一般に、それぞれの半導体レーザからの放射ビームは速軸のコリメート(FAC)レンズと遅軸のコリメート(SAC)レンズを使用してコリメーションされ、反射鏡により点状に結像される。このようにして、すべてのエミッタからのコリメーションビームは集光され、開口数(NA)が整合され、出力ファイバの入力端に入射する。半導体レーザとビーム混合光学系は、出力パワー当たりのコスト(一般にはワット当たりのドル価格で表される)、PCE、およびフットプリントを最適化するためのさまざまな配置が報告され、そこでは高い信頼性を保証しながら、必要な出力パワーレベルと輝度が確保されている。ファイバピッグテイルからの全出力パワーはパッケージ内部の半導体レーザ数(N)とエミッタごとの出力(P)、結合効率(CE)との掛算から得られる。パッケージ内部の「階段」の全開口高さ(h)はh=N×tの簡単な式になる。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/10/1110feature01.pdf