受信機の高速化を推進する新しい応用

オビディオ・アントン

自動平衡検出器を使用して干渉測定システムの試料ビームと参照ビームを監視すると、光コヒーレンストモグラフィなどの応用に必要な広いバンド幅が確保され、利得の改善と雑音の低減も可能になる。

通常の光干渉測定法は光ビームを二つの光路に分岐し、その後に再結合して、1つまたはそれ以上の感光性素子上で干渉させる。光路の 1つを参照ビームとして使用し、もう1つを測定物体用の試料ビームとして使用する場合が多い。干渉測定信号は二つの光ビームのコヒーレントな重畳から生じる。二光路干渉計の実用例にはマイケルソン配置とマッハ‐ツェンダー配置が含まれる(図1)。
 マイケルソン干渉計の場合、そこでは同じビームスプリッタを使用した試料ビームと参照ビームの分岐と再結合が行われ、フォトダイオードの電流I1は組み合わされたビーム電場の和のパワーエンベロープに比例し、その一次近似は次式により与えられる。ここでziとμiはi 次の反射干渉の光学距離と反射振幅を示している。

数式

マッハ‐ツェンダー干渉計の場合、試料光路と参照光路はそれぞれが試料物体と参照遅延板を通過し、第二の光コンバイナに達して再結合する。第一の光電流I1はマイケルソン干渉計の場
合と同じになるが、第二の光電流I2は次式で近似される。

数式

これはコヒーレント検出の基礎となり、検出される有用な光電流信号は試料累乗μ・P(λ)と参照累乗P(λ)の両方に比例した次式から得られる。

数式

フォトダイオードのショット雑音は次式から得られる。

数式

ここでe、B、ηq、ηm およびhνはそれぞれ電荷、電気的帯域幅、量子効率、ヘテロダイン効率および光子エネルギーを示している。したがって、単一フォトダイオード検出の信号対雑音比(SNR)には次式にもとづく限界がある。

数式

大きい相対強度雑音(RIN)をもつレーザを使用すると、このレベルからのSNRの減少が可能になる。
 RINやその他のコモンモード雑音源が存在する場合、ショット雑音限界に接近する実用的な方法は平衡検出器を使用して、I1とI2の二つの光電流を相互に減算する(1)。完全な50/50光コンバイナの場合、平衡検出器の出力はコモンモード出力が完全に除去され、その減算は次式により与えられる。

数式

したがって、平衡検出器は大きい信号対雑音比が必要になる光学測定に対して広く使われている。平衡検出器は二つに十分に整合したフォトダイオードから構成され、その光電流の減算を行うことで、コモンモード雑音は相殺される(図2)。
 平衡検出器は多数の供給メーカーがあり、広範囲の帯域幅と感度を選択でき、利得を調整できる製品も市販されている。信号の減算は二つの信号をデジタル化した後でも実行できるが、アナログ回路を用いて二つの信号を減算すると、サンプリング誤差のすべての問題が回避され、感度の大幅な増強が可能になる。

図1

図1  二光路干渉計にはマイケルソンとマッハ‐ツェンダーの配置が含まれる。単一フォトダイオード検出を用いるマイケルソン干渉計は、同一のビームスプリッタを用いて試料ビームと参照ビームの分離と再結合を行う(a)。二重フォトダイオード検出を用いるマッハ‐ツェンダー干渉計は、試料を通過した試料光路と参照遅延板を通過した参照光路とを再結合して第二の光コンバイナに入射する(b)。

図2

図2  高いコモンモード雑音をもつ二つの光電流I1およびI2が(埋め込まれた)低レベルの信号を伝達する(a)。平衡検出は二つの入力を組み合わせ、それらを減算(I1-I2)して、低レベルの変調信号を発生させる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/09/1109feature03.pdf