出力スケーラブルなSLEDをベースとした真性乱数生成器

中国とアメリカの研究チームによって開発された真性の乱数生成器(RNG)は、スーパールミネッセントLED(SLED)をベースとした機構によって、2系列の独立した10Gbitのランダムビットストリームを同時に発生させることができる(1)。この手法は、20系列以上のランダムビットストリームを同時に発生させることも可能だ。
 真性RNGは暗号作成にとって非常に重要であり、科学的なアプリケーションや宝くじサービスに利用されるとともに、アーティストやミュージシャンによっても活用されている。擬似RNGは真性RNGに比べて単純だが、それらが発生した数に非ランダム性の兆候が見られるため有用度は低い。これら2タイプのツール間には大きな違いがある。擬似RNGは1組の初期値を設定してランダムに見える1つの数系列を生成し、それらの上で大量の演算を実行する計算機アルゴリズムの形をとる。擬似RNGアルゴリズムの特徴の1つは、同じ1組の初期値をそれに与えると、常に同じ最終数列を生成することだ。
 対照的に、真性RNGはある物理現象を利用して実在のランダム性をその結果に導入する。ウェブで検索すると、擬似RNGアルゴリズムを提供する多数のサイトに出会うが、真性RNGについて記述しているサイトは非常に少ない。これらのサイトの 1つがwww.random.orgであり、同サイトによるとこのRNGは大気雑音を使ってランダム性を発生させているという。真性RNG特性が得られる他のアプローチには光子計数、カオスレーザ、真空中の量子ゆらぎの検出などがある。「真性の」RNGであっても非ランダムなバイアスを含む可能性がある。そのため、米国立標準技術研究所(NIST)は真性RNGと認定するための一連の厳格な乱数検定法を開発した。SLEDベースのRNGはこれらの検定に合格した。

単純でコンパクトなシステム

中国の北京師範大学と米メリーランド大学からなる研究チームは、市販の広帯域ファイバ結合SLEDを2つの波長分割多重化フィルタに結合して、1540nmおよび1555nmの2チャンネルをいずれも2.2nmの光伝送帯域幅で構成した。これらのチャンネルをそれぞれ11GHz受光器によって検出した。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/07/1107wn02.pdf