LEDの生産に必須となる光学検査

ダン・シャーフ

LEDは生産時の特性を十分に評価し、デバイスの一連の動作パラメータがエンドユーザの要求を満たすことを保証しなければならない。

蛍光灯や白熱灯への置き換えとなる発光ダイオード(LED)の、爆発的な需要の増加に伴って、ディスプレイや照明器具の設計者からの要求も厳しさが増している。生産工程における光学検査は、歩留の向上と正確なビニングを実現し、全体の生産コストを下げるためには必要不可欠である。光学検査は、現在、ウエハのプローブ検査に始まり、切り出したチップとテープ加工したチップ、そして最終的にはパッケージLEDの試験に至るまで、多くの工程で行われている。パッケージLEDはディプレイや照明器具に取付けられるが、これらのデバイスも光学検査が必要になる。さらに、エンドユーザも部品を検査して、光源が使用環境において良好に動作することを確認しようとする。LEDの感度は温度に依存し、使用状態にも影響され、その性能はバリューチェーンの各段階において変化するため、性能を確認するための検査が必要になる。
 LED技術が成長を維持し、産業界から広く受入れられるには、LEDの性能と経済性は置き換え対象の部品よりも高くなければならない。LEDデバイスの光学性能を定量化するには、強度(I)、光束(Φ)、発光色、指向性、電力消費などを測定しなければならない。それぞれのパラメータからは所定の用途に対して必要になるデバイス性能が得られ、その検査手順は関係する産業の個々の標準化団体から入手することができる。
 生産量を維持するには生産工程の検査速度が重要な要件になる。積分球と分光計の組合せは、一般にLEDの全光束およびスペクトル成分、つまり色特性の測定に使われる。検査するLEDの電力供給法も特別な考慮が必要になるが、それはLEDに加える電流をパルス波形にしてチップの温度上昇を防ぎ、測定や良品判定に十分な発光を確保する必要があるためだ。この高速プロセスには駆動電流と分光計の精密な同期が必要になる。

LEDのビニング

初期工程のウエハの検査では、LEDの所望の出力と基本の指向性を保証するための発光光束と強度が必要になる。これ以降の工程ではウエハから切り出されたチップの色特性が再度測定される。
 チップ段階の検査では、光束と色の判定基準に基づいて、ビニングと呼ばれる選別が行われる。この検査工程はLEDメーカーの多くで共通化され、最近はNEMA SSL3-2010のようなビニング判定基準が開発され、エンドユーザの標準化の助けになっている。利用可能なビニングパラメータには放射光束、主要波長、相関色温度、色度および演色指数(CRI)がある。
 LEDのパッケージングには、デバイスチップとシリコンまたはヒートシンクとのボンディングが必要であり、チップの保護と集光系を兼ねるレンズの取付けも含まれる。白色光を生成するレンズは、短波長のLED用の蛍光体が被覆される。他の白色LED方式では、3色のチップを用いるRGB(赤‐緑‐青)法を使用し、各チップの色の出力レベルを平衡状態にして白色光を生成する。いずれの場合も生産工程内にバラツキがあり、発光の色温度とカラーシフトが異なる状態になるため、定量的な測定が必要になる。前述したように、パッケージLEDのビニングには積分球が使用され、用途に合せた選別が行われる(図1)。
 一般に、LEDは標準の白熱ランプのような突発故障が起こらない。したがって、寿命予測の判定は容易でなく、LEDの期待寿命と劣化を予測する標準的な方法はない。その代わり、IESNA-LM80標準を用いると、パッケージLEDの光束維持率の判定が可能になり、デバイスの光出力が初期の70%になるときの期待時間を求めることができる。このような試験はLEDの少なくとも6000時間の高温連続動作が必要になり、温度は55℃、85℃およびメーカーが選択する第3の温度で行われる。この場合の光学検査は1000時間ごとに行われる。

図1

図1 ビニングとして知られる選別時のデバイスの性能は積分球に基づく試験装置を使用して検査される。

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出典元
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