制御可能な光スポットを投影するマルチモード光ファイバ

通常、単一波長で連続光を運ぶ光ファイバは、光源がオンであるということ以外に、いかなるデータも伝送しない。振幅変調は情報を運ぶものであり、1度に複数の波長を使う波長分割多重はデータ転送速度をさらに高めることができる。しかし、ファイバを使って情報を伝達する別の方法、すなわち、空間モードを利用する方法もある。イタリアのローマ大学サピエンツァ校のロベルト・ダイ・レオナルド氏とシルビオ・ビアンキ氏によって開発された非常に興味深いアプローチはその一つであり、情報が制御可能な光スポットパタンの形になっている。
 研究グループは、空間光変調器(SLM)を使ってマルチモード光ファイバの入射ビームを修正した。その結果、ファイバ出力は、独立に位置を制御できる一つ以上のスポットから成るホログラムになった(1)。このコンセプトは、いずれ細い剛体の針内に封入されたファイバの断面を通して試料を走査する内視顕微鏡に利用されることになるだろう。

直接探索アルゴリズム

研究者グループは、数千モードの伝送が可能なコア径105μm、開口数0.22のラージモードエリア(LMA)ファイバを使って、2mの選択されたファイバ切片で3770台のモードを伝送した。532nmのレーザ光は1024×768ピクセルから成る位相限定SLMのアクティブエリアを満たすために拡張されコリメートされた。SLMから反射された光は1次変調ビームだけを通過させるピンホールに集光され、次いで、ファイバ入力端へと再び集光された。
 ファイバの他端で、出射光はコリメートされ、直線偏光子を通過し、CMOSカメラに向けられた。いかなる位相変調もなしに、その出力は予測した通りのスペックルパタンのように見えた。し
かし、研究者グループは、反復直接探索アルゴリズムを適用した。これはSLM上のランダム位相反復で開始するが、その後、メリット関数を使って目的とするファイバ出力に的を絞る。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/04/28b6427e5e25d6bb586e7154c9e5ac5b.pdf