高パワー材料加工の「焦点シフト」を最小にする反射光学系
高パワー/高輝度レーザ(キロワットのパワーレベル)を用いる材料加工は「焦点シフト」、つまり加工中の材料におけるレーザビームの位置ずれが共通の課題になっている。この焦点シフトの主要な原因はビーム伝送光学系やコーティングの不均一加熱による熱レンズ効果にある。焦点シフトは加工材料に集束するレーザビーム径の変化ばかりではなく、集束ビームの相対角度とビームのパワー分布にも変化をもたらし、ビームの望ましいトップハット分布がガウシアン分布に近づいてしまう。
しかし、独トルンプ社(Trumpf)の科学者グループは、レーザビーム伝送用の光学材料の性質と光学系のさまざまな構成を研究し、反射光学系を使用して、焦点シフトを最小にする最適ビーム伝送システムを開発した(1)。
光学系の配置
学部品はいずれも熱光学効果に曝されるため、レーザ装置の出力部と加工材料の表面との間の光路は、できるだけ光吸収の少ない光学部品を使う必要がある。例えば、カメラを用いる直線の、つまり0°の溶接ヘッドでは、カメラ画像を反射し、レーザビームを透過する曲面鏡が使われる。この場合はレーザビームの吸収が曲面鏡の二つの面とバルク媒質の内部で起こる。対照的に、90°の溶接ヘッドでは、曲面鏡がレーザビームを反射し、カメラ画像を透過する。その結果、レーザビームは1面だけの反射により伝送されるため、熱光学効果による焦点シフトが直線配置の場合に比べて45%減少する測定データが得られている。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/02/64119bd748f8cbf29f64db6e48b7457a.pdf