線幅13kHzの小型共振器安定化レーザ
低キロヘルツ領域の線幅を持つレーザは分光法ならびに計測学(例えば、長さや周波数標準)に有用である。独マックスプランク研究所(MPL)の光科学部門の研究チームは、線幅がわずか13kHzの単純で小型なタイプのレーザを考案した(1)。レーザはフッ化カルシウム(CaF2)結晶から成るウィスパリングギャラリーモード(WGM)の小型共振器を中心にして組立てられた。CaF2 WGM共振器をディスク形状にすることによって、Q値を非常に高くすることができた(Q値は共振器減衰の尺度であり、Qが高いほど減衰が少ない)。
このレーザの組立ては一つの光ファイバリングからなり、関連する光学部品はすべてこのリング内に挿入された(図1)。約1560nmにピークを持ち、広いスペクトル範囲を発振する半導体光増幅器(SOA)はレーザ利得を提供した。SOAは二つの偏光制御(PC)部品間に配置され、光アイソレータはレーザ光の1方向伝送を保証した。ファイバ結合器は循環する光の1%を出力ファイバへと導いた。
研究所内で製造された共振器
レーザの心臓部はWGM共振器そのものとそこに出入する光を結合させるプリズムである。5mm直径の共振器はMPLの特注装置上で形成され、光学的に研磨された。レーザは共振器近くに(接触させずに)配置された二つのプリズムによって共振器内外へと結合され、少量の光が一方のプリズムから共振器へとエバネセント的に結合し、その後、共振器から他方のプリズムへ導波されるようにした。ファイバリングからの光は一対の屈折率分布型(GRIN)レンズ経由でプリズムの内または外へと導かれた。プリズムは組立てが単一モードのレーザを発振するように整列された。1560nm付近のモードがレーザのモード競争によって自動的に選択された。
この共振器は、温度を制御するために熱電冷却装置上に搭載され、15MHzの受動線幅または107のQ値が測定された(注:受動線幅は単に共振器の特性であり、レーザの実際の線幅ではない)。SOAは600mAの電流注入によって励起されると、約10μWの光パワーを1%ポートから放射した。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/01/148e847a3dd110e9213111df02381743.pdf