自然な白色LEDを可能にするナノロッドアレイ
現在のところ、窒化ガリウムインジウム(InGaN)に基づくLEDは、格子不整合の極性InGaN 量子井戸における強い量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)の結果として、青色および緑色領域の発光しか得られていない。白色LEDは、InGaN構造上の黄色蛍光体を使用して作製することも可能だが、効率は柑対的に低く、演色性も乏しい。
窒化インジウム(InN)と窒化ガリウム(GaN)間の格子不整合と結晶構造の極性とによる波長依存QCSEが主に発光効率を制限しているという認識に立ち、台湾の国立精華大学の研究チームは、蛍光体フリー白色LEDの新しい製造法を開発した(1)。このLEDは、ピエゾ分極効果を除去する歪みのないInGaN/GaNナノロッドヘテロ構造を成長させるために、シリコン(Si)基板上のGaNナノロッドアレイをテンプレートとして利用する。
歪みのないナノディスクの成長
プラズマ支援分子ビームエピタキシを使って、垂直整列GaNナノロッドを3インチのn型Si基板上にウルツ鉱型構造のc軸に沿って成長させた(2)。これらのアレイは歪みと転位を含まない単結晶の性質を示し、続いてGaNナノロッド表面に歪みのないInGaNナノディスクを成長させるためのナノ構造化されたコンプライアントテンプレートとしての役割を果たした。InxGa1-xN組成を制御することによって、可視スペクトルをカバーする青~赤の発光範囲を持つナノデイスクエミッタ集合体を成長させることができた。次いで、白色LEDを作り出すため、このナノデイスクエミッタスタックをGaNp-n接合に埋め込み、必要な光混合効果を達成した。
他の研究チームは多重鼠子井戸平面InGaN/GaNや他の修飾構造内に白色LEDを作製しているが、QCSE構造によって制限されるInGaNアクティブ構造は、通常は極めて薄く(わずか厚さ2~4nm)、最適な白色光出力からはほど遠い結果となっている。ナノロッド構造は、一般に10~25nmの厚さがあるため、これらの大きくチューナブルなアクティブ領域体積によって、高電流での電子流出の低下によりキャリア捕獲が改善され、色温度が約6000K の優れた自然な白色出力を作り出す色混合が可能になった。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/12/704f9d0c0adb86aa1abfe2fcc206d7e7.pdf