8~14μmの赤外領域を開拓する焦点面アレイの最新エレクトロニクス

独フラウンホーファー・マイクロエレクトロニックサーキットシステム研究所(IMS)の科学者たちの努力によって、中赤外(MIR)波長領域の画像を低温冷却なしで取得する技術が利用可能になろうとしている。この技術は長波長IRの8~14μmの領域、つまり、通常は熱電冷却や液体低温冷却が必要となる領域に関係している。
 最近、IMS のダーク・ワイラー氏の研究チームは、8~14μmの赤外領域用の完全非冷却640 X480画素IR焦点面アレイ(IRFPA)を発表した(1)。この波長領域には温血動物、つまりヒトの体温に関係する波長が含まれているため、とくに注目されている。その結果、軍事用の分野では冷却と非冷却の両方の技術が暗視装置として実用化されている。
 しかし、その用途は、例えば移動する車から動物や人を見つけることであり、「平凡だ」と思われるかも知れない。もう一つは消火作業への応用だが、そこでは適切なIR 検出器を使うと、煙が充満した建物に閉じ込められた人の所在を検出できる。
 ワイラー氏は「フラウンホーファーIMSは、低雑音で低電力のCMOS回路、とくにセンサの読取り回路の設計において25年以上にわたる経験がある。われわれは2006年に、その応用を自動車用のマイクロメータに絞ってIRセンサの開発を始めた」と語っている。ワイラー氏によると、IMSは1990年代の初頭から容昼圧カセンサなどに使われるCMOS 互換表面マイクロマシニング技術を開発してきた。この研究チームのIRFPAは電子回路の特殊設計技術と精密マシニング技術の組合せに基づいている。
 デバイスの心臓部は25μmのピッチをもつマイクロボロメータのVGA分解能のアレイで構成される。このボロメータアレイはMIR光が入射したときの各ボロメータの微小な抵抗の変化を利用し、これらの変化の同調を多段階で行って、デジタル信号を発生させる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/12/898c9de1387e866651105f6845309e5f.pdf