「全光式」蛍光操作技術を利用したテラヘルツリモートセンシング
すでに多くの時間領域テラヘルツ(THz) 波検出技術が開発されているが、高い大気中水分の吸収が「遠隔」THzセンシングの妨げとなり、国家防衛、天文学、環境モニタリングなどの多数の用途からは締め出されている。しかし、米レンセラーエ科大学(RPI) とカナダのラバル大学の研究チームによる新しい全光式技術によって、ようやくこの図式は変わろうとしている(1) 。
レーザ誘起蛍光
その鍵は、THz波と直接相互作用する全方向性の蛍光放射を利用することにある。この信号検出法は、最小の水蒸気吸収と制限のない方向性によって、最高10mまでのスタンドオフ(離間)距離でTHzパルスを時間分解測定するために十分な感度をもつ。
紫外(UV) コート望遠鏡と分光計はプラズマからのレーザ誘起窒素蛍光を遠隔距離で収集し、測定する。大強度のレーザパルスを窒素原子に照射すると、励起された電子の一部が原子や分子の高リュードベリ状態にトラップされる。一方、単ーサイクルのTHzパルスは原子をイオン化がより容易な捕獲状態に励起するため、THz放射増強蛍光(THz-REEF) が実現する。
研究チームは、2色(基本波と第2高調波)のレーザパルスを使うことによって気体を非対称にイオン化してレーザ誘起プラズマ中の電子ドリフト速度を制御した。これにより、THz波と相互作用するプラズマからの蛍光放射をコヒーレントに操作した。アト秒精度で制御可能な基本レーザパルスと第2高調波レーザパルスとの間の相対的な光位相は非対称な電子ドリフトが創出されるようにセットされた。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/10/e6858f9774ba10feef5129ef7c920fd1.pdf