分光科学者の研究手段になる2.8fsのDUVパルス

現在のフエムト秒(fs) とアト秒(as)の光パルスによって、科学者は原子、分子、ナノ粒子などの詳細な研究が可能になっている。例えば、分子に少数サイクルの深紫外線(DUV) パルスを照射して価電子帯の電子を操作すると、分子はアト秒分光法による高解像の研究が可能になる。
 これまでに生成されたDUV領域の超短パルスの持続時間は3.7fsであった(アト秒パルスは極端紫外(EUV) 波長よりも短い光から構成される)。しかし、独マックスプランク最子光学研究所、ミュンヘンエ科大学およびルートヴィヒ・マクシミリアン大学とサウジアラビアのキング・サウード大学の研究者たちは共同して、1fs以下の実現可能性もある2.8fsの超短パルスを発生させる直接周波数変換手法を開発した(1)。

ネオンによる周波数3倍化

この超短パルスを実現するために、研究者グループは5バールのネオンを充填した3mm長の気体セルを準備し、そのなかにサブ4fs近赤外(NIR) レーザパルスを通して周波数3倍化を行った。ブルースター角に配置された一連の高分子薄膜を用いて、750nmのキャリア波長をもつ0.25mJの広帯域パルスの偏光変換が行われ、この偏光が1.5μJのエネルギーをもつDUVパルスとして放射された。より強力な共線IR放射パルスの発生は、シリコンミラーによるブルースター角の反射を使用し、DUVパルスのエネルギーを約300nJにまで減少させるフィルタリングに基づいて行われた。
 この真空容器のなかの気体セルは光学窓が不要になることを意味する「擬似静止状態」と呼ばれる方式に属している。気体はセルの二つの小さい穴から流出し、集束されたIRレーザビームが穴の一つからセルに入り、もう一つの穴から出る。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/10/b007cf0a8c373628f69716ef0fc30266.pdf