非球面計測の進歩を可能にする可変光学ヌル部品
可変光学ヌル部品を用いて非点収差とコマ収差を除去する非球面ステッチング干渉計は、近似球面から1000 波までのすれをもつ非球面を測定できる。
光学系に非球面を使うことの利点はよく知られており、実績もある。非球面は防衛用の赤外撮像などのさまざまな用途に使われ、その作製はシングルポイントダイヤモンド旋削の進歩によって可能になっている。非球面は携帯電話やデジタルカメラなどの昼産用途にも応用され、そこでは成形技術が発達し、十分な品質の光学系が生産されている。
しかしながら、高精密撮像システムへの非球面の応用は、フレキシブルな全開口計測技術が存在しなかったこともあり、広範な利用は進んで来なかった(これは先端メーカーがしばしば口にする「測定できないものは作れない」ということの一つの例である)。とくに、中間領域の空間周波数の影響が認識されるようになったことに加え、全体の形状誤差の公差(仕様)も厳しくなってきたことによって、高解像度な全開口計測技術の必要性が認識されるようになった(1)。さらに正確な全開口計測技術は、磁性流体表面加工(MRF)やその他の決定論的表而加工においても必要になることが多い。
従来の測定法
従来の非球面計測は触針形状測定法またはヌル干渉測定法を用いて行われてきた。両者はいずれも、利点と欠点を有する。触針形状測定法は汎用性が高く、コスト効果を期待できるが、測定精度に限界があり、全開口の高解像測定には適用できない。ヌル干渉測定法は全表面を測定できるが(干渉計に対応する光学系の寸法に依存する)、汎用性とコスト効果が不十分で、非常に特殊な非球面の測定には専用装置やヌルレンズが必要になる。
最近はサブナイキストや帯状合成干渉測定法などの非ヌル系の干渉測定技術が進歩し、代替法として登場したが、これらの技術はいずれも、測定できる光学系のサイズと非球面のずれに限界がある(2)、(3)。中間領域の空間周波数を測定する能力は撮像光学系の画質と干渉計のカメラ画素の制約を受ける。
サブ開ロステッチング干渉測定法は、従来の干渉測定法の能力を拡大するために開発されたが、より大きな直径と開口数を全半球まで測定できる利点があり、横方向の分解能と精度が大幅に改善される(4)。非球面の測定にも拡張されたステッチング、つまり縫い合わせる手法では、拡大された非ヌル干渉縞パタンの測定と球面への局所的近似が行われる(5)。しかしながら、このアプローチは非球面が鋭くなると、測定する干渉縞の密度が限りなく増加するため、その使用は中間的な非球面(近似球面からのずれが200波以内)の測定に限られている。このような干渉縞の密度の増加は、干渉計の球面の波面とサブ開口内部の非球面からの球面でない波面との不整合から生じる。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/10/2aca3b6b010dbbf2265ebc7a2c66c24f.pdf