マスクレスリソグラフィヘの挑戦に名乗りをあげるホログラフィ

英ケンブリッジ大学の研究グループによると、リソグラフィにおける次なる大きな(または小さな)挑戦はホログラムを採用してフォトマスクを廃止することのようだ。
 日常的にフォトリソグラフィを利用している産業は、絶えず片方の目で未来を見据えている。デバイスサイズの縮小と部品密度の上昇が絶え間なく進んでいるということは、リソグラフィの形状を形成するためのいかなる最先端技術であろうともすぐに追い越されることを意味している。こうした産業は常にもう片方の目を純利益に向けている。これまでに、リソグラフィの資本コストに最も大きく貢献した一つがフォトマスクだ。いわゆるマスクレスリソグラフィの可能性をもたらすアプローチは、デバイス設計に一つの変化を起こすごとに、その変化の大小に関わらず、メーカーに数万ドルの経費削減を約束する。

位相ホログラムを生成するSLM

ケンブリッジ大学のフォトニクス・エレクトロニクス分子材料センターにHを向けてみよう。このセンターを拠点にして、一つの研究グループが長期にわたり計算機合成ホログラフィ分野の研究を続けてきた。このグループのアプリケーションで最も童要なことは、液晶・オン・シリコン空間光変調器(SLM)の利用である。すでに、このグループはSLM 上に計算機合成位相ホログラムを表示する方法で3次元(3D)ホログラフィックビデオ投影など、一連の見事なアプリケーションを実証した(1)。
 ケンブリッジグループを率いるティム・ウィルキンソン氏は、独プフォルツハイム大学のニルス・ヒュブナー氏と協同で、この同じアプローチがリソグラフィにも利用できることを証明した。
 ウィルキンソン氏は、「これは基本的に同じ技術だが、われわれは2Dまたは3Dの大形画像を投影するのではなく、回折限界の特徴をもつ画像の投影を試みている」と言う。このアプローチの実証に向けて、研究グループは顕微鏡スライド上に標準フォトレジストをスピンコートした。光源には、ビーム品質を高めるために単ーモードファイバに結合した中心波長402nmの垂直共振器面発光レーザを使用した。
 表示されるホログラムを生成するために、試料画像(3mm 幅のケンブリッジ大学の校章)を20のサブ画像に分割し、光学系を使ってそれらに約3.5μmの公称画素幅を割り当てた。彼らはゲルヒベルグ・サクストン位相回復アルゴリズムを使ってランダムな出発位相からホログラムを発生させ、各サブ画像に対して五つの異なる出発位相から五つの平均化位相ホログラムを生成した。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/10/c1497cc952bfc8f2170432e7160f466a.pdf