ピコプロジェクタよりもはるかに強力なDLPチップ
米テキサス・インスツルメンツ社(TI)製のマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を使ったデジタル光処理(DLP)技術は、周知のピコプロジェクタ用途にとどまらず、さらに多くの領域へ向かう道を模索している。今年のPhotonics West 2010 MOEMS-MEMS Conュference 7596 はDLPなどのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を使ったアプリケーションの話題で持ちきりだった。デイスプレイ用途や動的なスペックル低減に加えて、医学上および産業上のDLP用途も出現しつつある。
医用画像と照明
米テキサス大学アーリントン校(UTA)、TI、国立標準技術研究所(NIST)およびテキサス大学南西医療センターの研究者たちは共同して、反射分光法で生物組織を高速で解析することが可能な米オプトロニック・ラボラトリーズ社製のDLP利用光源を使うハイパースペクトルイメージングシステムに取組んでいる(1)。このスペクトル照明光源は、350μm のスリットを使用した場合、8.55nmの半値全幅(FWHM)帯域通過で380~780nmの範囲で動作する。反射データは、12ビットまたは14ビットで10MHzまたは20MHzのデジタイザを備えた1392X1040 画素(6.4 5X6.45μmピクセル)からなるCCDイメージセンサヘと転送される。この臨床用の撮像装置は液体光ガイドを通して光を投影し、ニコンの50mm標準レンズを使って反射光を集光させる。反射分光画像は3 次元(3D)ハイパースペクトルイメージキューブにフォーマットされた。この画像は専用計量化学アルゴリズムを適用して、結果的に組織の化学的性質をほぽビデオレートで視鎚化する化学的にエンコードされた画像へと変換される。
テキサスのパークランド・メモリアル・ホスピタルの熱傷部門では、ハイパースペクトルシステムを使用して、熱傷創傷に関する可視域と近赤外(NIR)のデータを収集し、様々な深度における組織中のオキシヘモグロビン寄与率を決定し、急速治癒のために切除すべき「死んだ」組織の量を確定している。このスペクトルシステムは、セットアップを若干変更することによって、酸素化血液灌流を指示する網膜のハイパースペクトルデータの分析に基づく糖尿病網膜症の研究にも使用されている。最終的に、DLP技術の高速性は、腹腔鏡手術のための先進イメージングを可能にし、胆嚢と腎臓の手術中の組織内ナビゲーションを支援し、術後回復を向上させる。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/06/201006-2wn2.pdf