新しい裏面照射型CCDが微弱光検出を強化する
標準的なCCDにはいくつかの種類が存在するが、いすれも微弱光イメージングに使用するには問題がある。新しい裏面照射技術は、標準CCDの長所を維持しながら、これらの問題を解決した。
CCDは、1969年に発明されて以来、われわれの宇宙の果てに存在する恒星物体から顕微鏡下のナノ粒子にいたる様々な実在物からの微かな光を検出するために使われてきた。微弱光CCDカメラがライフサイエンスと自然科学に多数のブレークスルーをもたらすことができた鍵は、90%以上のピーク歴子効率(QE) 、2e-rms以下という非常に低い読出し雑音、優れた線形性、100%の曲線因子、ずば抜けた電荷移動効率などにある。
約10年前に、CCDの一変形体として電子増倍CCD(EMCCD) が開発された。それまで注目されてきたCCDの機能に加えて、EMCCDは、単一光子検出を可能にするサブ電子の読出し雑音
を高フレームレートで達成した。その結果、CCDとEMCCDカメラは、定常的な天体撮像から動的な単一分子イメージング、そして広視野イメージングから分光法までの全域にわたる科学的用途に適した機器として一般に利用されるようになった。
CCDとEMCCDの種類
科学研究用CCDは多くの異なる技術を提供可能で、研究者はその中から選択可能である。初期CCDには、正面照射型CCD、標準(薄化)裏面照射型CCD、裏面照射型デイープデプリーション(深空乏化) CCDなどのタイプがある。
伝統的な正面照射製CCDにおいては、光はポリシリコンゲートを通って透過し、各画素で1電荷として明瞭に定義される。その結果、正面照射型デバイスのQE(信号に寄与する入射光子の割合)は一般に50%程度に過ぎない。QEの改善には、独自のエッチング技術でデバイスを約10~15μm 厚まで均ーに薄くして、ゲート構造がないCCDの受光面領域(デプリーション領域)に画像を直接集光させることも有効だ。正面照明型CCDに比べて、この薄化裏面照射型デバイスはQEが全可視スペクトル領域で高く、ピークQEは90%以上に達する。特に、近赤外線(NIR)結像やX 線応用などで、さらにQEを改善するには、50~300μm 厚みの高抵抗シリコン層にバイアス電圧を印加して「より深い」デプリーション領域を形成する方式も有効である。このアーキテクチャは、長波長の光子がシリコン層内に単に侵入するのではなく層内で相互作用することを可能にし、QEを極限的に高める(図1) 。
一方、EMCCDは比較的最近革新された技術である。オンチップ光電子増倍を使って、センサの読出し雑音に比して侶号を高める(図2) 。その結果、EMCCDカメラはビデオレート以上の高いレートで電子以下の読出し雑音を実現する。当然のことながら、このカメラは、超微弱光の適応光学や単一分子蛍光イメージングなど、超微弱光で高フレームレートの様々な用途において極めてポピュラーになった。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/06/201006-8f2.pdf