フラッシュレーダの精度を高める超解像

移動ロボットは、何らかの方法で「見える」必要がある。多くの障害物が異なる高さで存在し、ロボットも最低限の自主性をもたなくてはならない都市型戦闘のような用途では、フラッシュレーダ(レーザによる検出と測距)は「視党」へのもっとも確実なアプローチの一つであることが判明した。フラッシュレーダは、近赤外(NIR) の拡散パルスによって飛行時間やイメージングセンサ(必要があれば強度情報も収集可能)を通じて3次元(3D) 情報を提供する。
 しかし、フラッシュレーダ機器は、一般に約256×256ピクセル程度に制限される焦点面アレイを使用する。これは実用的用途では改善が必要な解像度である。これを改善する一つの方法としては、「超解像」の利用がある。サブピクセルサイズずつシフトした複数の画像を撮影し、得られたデータを処理して1枚の超解像画像を作り出す方法である。
 米陸軍研究所、米国立標準技術研究所、米ナイトビジョン&電子的標準理事会の研究グループはこの技術の有効性を実験的に評価し、ターゲットの識別を大幅に改善することがわかった(1) 。

手持ちカメラ

この実験装置は、850nm、20MHzでパルス発光する照明としての55個のLEDと176×144ピクセルの検出器、fナンバー1.4のレンズで構成されている。ピクセル毎の試料サイズは光学回折点よりも大きい。
 超解像を成功させるためには、多様なピクセルサイズの整数倍ではなく多数の画素シフトによって撮影されなくてはならない。実験では、手持ちカメラの自然な動きの結果としてフレーム間のサブピクセルシフトが取得される。カメラはXおよびY方向に平行移動するが、大きく回転はしない。この研究では距離データ(強度ではなく)のみが使用された。
 中央に7.5cmの正三角形が切取られた四角い盤が被写体として使用された。三角形のサイズは解像限界と同等もしくはわずかに上回るように選択された(図1)。実験は、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6mの距離(どの距離も20MHzパルスの繰返率に起因する曖昧な距離よりも短い)で行われた。

図1

図1 フラッシュレーダによってTODのターゲットのグレイスケールの画像が作られる。単一画像(左)では三角形の解像度は低いが、超解像画像は三角形の方向を明確に示している(右)。(資料提供:ショウウエン・フー氏)

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2010/06/201006-3wn3.pdf