進化を続ける産業用高出力ブルーレーザ

レーザーライン株式会社

高出化・高輝度化・低価格化が進む製品群。

100年に1度と言われる自動車産業の変革期と言われる技術革新は、自動化、コネクテッド、シェアリングそして電動化と言われているが、中でも電動化と多機能化によって自動車には電子部品、機器が多く搭載され、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)の普及により従来の内燃機関エンジンに使われる銅の使用量に比べてその消費量が急増する。これに伴い銅材料の加工技術の開発は大変重要となってくる。各種加工技術の中でもレーザ加工技術は、非接触かつ局所加工が可能で小型・軽量化される自動車の電動化においても重要な役割を果たすと期待される。しかしながら従来の赤外レーザ(IRレーザ)では銅材料や高反射材料への加工は材料の特性上困難であった。電動化のキーとなる部品、主にモーター及びジェネレーター(あるいはモータージェネレーター)、バッテリー、パワーコントロールユニットのインバーター及びパワーモジュールなどや、それらの配線などがありどれも銅材料が使用され、それゆえに効率的で安定した銅の加工技術開発は重要であり急務である。

ブルーレーザによるソリューション

この銅材料や高反射材のレーザ加工のソリューションとして、レーザーライン社は今までに無かったキロワット級の新しいCW(連続波)レーザ発振器“ブルーレーザ” を開発した(図1)。ブルーレーザは青色波長450nmを発振、この波長は銅材料に対してIR光では5%程度の吸収率が60%以上あり、IR光では不可能であった加工中のスパッタ飛散の無い高品質な加工が可能である。同社は産業用高出力半導体レーザ発振器の専門メーカーで、このブルーレーザは青色波長の半導体レーザ(LD)をベースにしており、昨今の青色波長LDの技術革新により装置化が実現した。LDは半導体素子に通電することにより手軽にレーザ光を発生させ、我々の家庭にも電化製品の一部として普及しているレーザ光源である。構造的には独立したレーザ媒質と外部共振器を持たないため、非常にシンプルな発振器構成、小型、高効率の産業用の光源である。従来のファイバレーザやディスクレーザの励起用途や既存のダイレクトLD で使用されるLD は、光通信用途などで良く知られるGaAs系のIR 光を発振する半導体チップであるが、ブルーレーザはBlu-ray 用途や、レーザディスプレイ、最近では自動車のヘッドライトなどで知られている青色系LDチップ(GaN系 450nm発振)を実装した発振器である。2019年に発売されたブルーレーザは、青色波長450nm、600μmコアファイバ端で500W、1mmコアファイバー端で1000W発振であったが、わずか1年後の2020年には、400umコアファイバ端で1000W、600um コアファイバ端で2000W 発振するモデルが発売された。更にマルチキロワット級発振の高出力化の開発も進んでいるが、その一方でNA 値を0.2から0.1にした400μmコアファイバNA0.1で800W、600um コアファイバNA0.1の1500Wのモデルも新たにラインアップされ、スキャナー加工等にも有効な発振器が追加された。これらの急速な高出力化によりフォトンコスト(1Wあたりの単価)も下がっている。今までIR帯のレーザ発振器では困難であった材料へのレーザ加工をその450nmという短波長の優位性から非常に高効率な加工プロセスの実現を可能とすると期待されている。

図1 青色LD チップ(左)。ブルーレーザ発振器(中央)。ブルーレーザによるスパッタの無い溶接例(右)。

図1 青色LDチップ(左)。ブルーレーザ発振器(中央)。ブルーレーザによるスパッタの無い溶接例(右)。

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出典
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2021/10/012-013_tr_Laserline.pdf