微細な3D形状の高精度なレーザ加工による、新しい腕時計の製作

ジュリア・ボッタリーニ

ガラスを加工して3D部品を生成する技術

ガラスは、金属やポリマーなどの材料にはない独特の性質と利点を備えており、光を透過し、耐熱性、耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、本質的に生体適合性を備え、化学的に安定で、電気を絶縁する。また、それよりは目立たない性質ではあるが、弾性が高く、化学的処理後の破損強度が高い。 
そのため、ガラスは時計学(時間の研究と管理)や微細機械学の分野で広く使われている。そのトライボロジー挙動と、3次元(3D)構造を形作る能力を求めて、スイスの高級時計財団(Fondation de la Haute Horlogerie:FHH)の主要なブランドが、新しい腕時計のムーブメント、文字盤、アクチュエータ、テン輪、時間インジケータを製作するために、スイスを拠点とするフェムトプリント社(FEMTOprint)の微細加工プラットフォームを導入している。 
スイスの高級腕時計メーカーであるユリス・ナルダン社(Ulysse Nardin)は、1846年の創業以来、腕時計製作のパイオニアとして君臨し続けている。2017年に発表したコンセプトウォッチ「Innovision 2」は、自動巻き機構、オシレーター、3Dのガラス製分針、テン輪に対する衝撃保護が組み込まれたガラスブリッジで、腕時計ファンの注目を集めた。そして今回同社が発表したのが、「フリークネクスト」(FREAKneXt)である。このコンセプトウォッチでは、ユリス・ナルダン社の技術的マイルストーンと、フェムトプリント社のガラスを対象としたレーザ微細加工の専門技術を示すことを目的に、3Dフライングオシレーターを搭載した新しいフライングカルーセルバゲットムーブメントが披露されている。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/09/D_022-023_up_precision_laser.pdf