積層造形によるヨットレーシング性能の向上

イリノイ州、ウェストダンディ−英ランドローバー社(Land Rover)のベン・エインズリー・レーシング(BAR:Ben Ainslie Racing)は、最先端技術を常に積極的に採用している。英国のヨットレーシングチームであるBARは、積層造形(AM:Additive Manufacturing、3Dプリント)による競争力強化を図っている。この技術は、ランドローバーBARチームの技術革新グループ(TIG :Technical InnovationGroup)によって、BAR における日々の作業に取り入れられている。TIG と提携するのは、金属積層造形装置メーカーの英レニショー社(Renishaw)である。この提携によって、同チームのエンジニアらは高精度なカスタム部品の設計とテストを社内で迅速かつコスト効率よく行うことができ、ヨットの水上性能を高めることができる(図1)。 
「3Dプリントを3つの異なるレベルで利用している」と、英PA コンサルティング社(PA Consulting)に所属し、TIGプロジェクトマネージャーを務めるジョージ・サイクス氏(GeorgeSykes)は述べている。「最も簡単なレベルでは、プロトタイプ開発と視覚化のツールとして使用している。多数のカスタム部品を製造しているが、3Dプリントによって、設計を確定させる前に実寸のプロトタイプを社内で開発することができる」(サイクス氏)。 
「プロトタイプ開発は、新しいアイデアを構築しようとする場合に非常に便利だ」と述べるのは、ランドローバーBARの最高技術責任者(CTO)を務めるアンディ・クロートン氏(Andy Claughton)だ。「実際に手で触れ、ボートに搭載したり、システムの他の部分と接続したりして、最終版の製造に取り掛かる前に、潜在的な問題を確認し、設計を改良することができる」(クロートン氏)。 
同チームは、独自の設備を完備する従来型の機械工場に加えて、広範囲にわたる付加的な製造設備を保有している。両者を併用することで、ほぼすべての製造に対応することができる。最終部品が3Dプリントで製造可能ならば、その選択肢を採用する。それによって一般的に、コストを大幅に削減できるためである。

図1 ランドローバーBAR のヨットには、積層造形で製造された部品が使われている。

図1 ランドローバーBARのヨットには、積層造形で製造された部品が使われている。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/09/update_p9.pdf