3Dプリントで、革新的な時計設計が可能に

スイス、ルガーノ−ガラスには独特の性質があることが知られている。透明で、耐腐食性、熱安定性、電気絶縁性を備え、傷や摩耗に強く、弾性や生体適合性が高い。しかし、そのような性質にトライボロジー挙動を併せ持つガラスを使用して、精密さと美しい外観と複数の機能を兼ね備えた、3次元の完全な腕時計機構を構築できると考えた人がいただろうか。おそらく、スイスのフェムトプリント社(FEMTOprint)が切り拓いた3D プリント時代の前にはいなかっただろう。 
最初に発表した腕時計「InnoVision」から10 年を経て、スイスの腕時計メーカーであるユリス・ナルダン社(UlysseNardin)は2017年1月、Geneva WatchExhibitionにて2作目となる「InnoVision2」を発表した(Salon InternationalHaute Horlongerie[SIHH] 2017)。革新の限界を押し上げる、たぐいまれな腕時計である。ユリス・ナルダン社は、真の彫刻品と、この時計を構成する複数機能を持つコンポーネントをガラスから設計、造形、製作するために、フェムトプリント社と、多用途に対応する同社のレーザプラットフォームを選択した。 
フェムトプリント社の革新的な3Dプリントプラットフォームは、複雑でモノリシックな3D 形状をサブミクロンの分解能で製作することができる。その多用途性と安価な構成によって、高い精密性、再現性、光学表面品質が得られる。この技術は、腕時計業界のような最先端市場に対し、変革的なソリューションを手に届く価格で提供するものである。 
InnoVision2 は、漸進的な姿勢と高度なレーザ技術を組み合わせることによって、革新的な製品が製造できることを示す1 つの例である。3D プリントによる精密で透明な分針(図1)、衝撃緩衝保護を備えるモノリシックなコンポーネント、明確な照明を実現するマイクロチャンネル、本体に刻印された同社ブランドに、創造性が現れている。それと同時に、臨界寸法、材料特性、表面品質を正確に実現することが、鍵を握る要素だった。

図1 InnoVision2 は、3D プリントに よるガラス製分針を特徴とする(左下は拡 大図)。(写真提供:ユリス・ナルダン社/ フェムトプリント社)

図1 InnoVision2 は、3Dプリントによるガラス製分針を特徴とする(左下は拡大図)。(写真提供:ユリス・ナルダン社/フェムトプリント社)

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/09/update_p6.pdf