産業分野におけるファイバレーザの適用例

株式会社日本レーザー

ファイバレーザは、YAGレーザやCO2レーザの約10倍にも及ぶ高いエネルギー効率と、省スペースなサイズ、高い信頼性、低メンテナンス特性から、多くの産業分野で急速にシェアを広げている。本記事では、連続波及びパルス発振それぞれのファイバレーザの導入例と利点を紹介する。

CWファイバレーザラピッド・プロトタイピング

ラピッド・プロトタイピング技術は、近年の高品質化により、最終製品の製造、すなわちラピッド・マニュファクチュアリングへ適用範囲を拡張している。いくつかの主要な技術のうち金属加工に多く用いられるレーザ焼結法は、医療機器製造の革新的な技術となっている。例えばかつて数カ月かかった人工骨の製造・テストの期間は、わずか数日と劇的に短縮された。また溶解による成形が困難なチタンや生体用合金などでも自在なパーツ製造が可能である。 
本プロセスにはCW Nd:YAG レーザが多く用いられているが、より出力安定性に優れるファイバレーザを代替に用いることでプロセス安定性の向上が期待できる。また高い集光性により、一般的なオプティクスでも最小10μmまで集光が可能。微細金属加工が一般に230μm、さらには100μm までのスケールになることを考慮しても、より精密で軽量な構造体を成形できる。さらにファイバレーザには従来型の固体赤外レーザにつきものの熱レンズ効果がなく、これに起因する光学的歪みやレイヤの熱蓄積の制御にわずらわされることがない。

透明プラスチック溶着

従来のレーザ透過溶着法によるプラスチック溶接は、光透過性パーツと光吸収性パーツの熱溶接を前提としており、透明材料同士、または不透明材料同士での接合ができない。それに対してClearweldTM技術で知られる改良型のレーザ溶接が、医療用プラスチック製造に用いられ始めている。この技術は、特殊な非炭素含有のレーザ光吸収体を溶接個所にコーティングし、レーザ光を照射するもので、周囲への熱伝導が少ない非常に高品質な溶着を行える。なにより重要なのは、この樹脂が溶着後劣化して、接合部が透明になる点である。 
プラスチック溶着には主にダイレクト・ダイオード・レーザが使用されているが、ファイバレーザならコリメートビームによるZ 軸の位置決めが不要なため、溶着システムを大幅に簡素化できる。出力波長はダイレクト・ダイオード・レーザに比べて若干長波長側であるが、波長の差による溶着効率の低減は見られない。さらにコントロール性が高く、異なる種類のプラスチック材間の溶着でも医療機器に十分な品質が得られる。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/11/ILSJ_Sep16_ar4.pdf