フェムト秒ディスクレーザの紹介と今後の展望

イエナオプティック・ジャパン株式会社 矢野泰則

短パルスレーザといえば、産業用レーザとして近年注目されている。ピコ秒レーザにおいては、これまでの5 年間で産業用途として成熟に至っているのではないかと考えられている。昨今においては、ピコ秒よりもさらに短いパルス幅のフェムト秒レーザが注目を集めているが、これは産業分野のみならず、医療分野や計測、研究用途等の理化学分野からも注目を集めている。これは、パルス幅が短くなることで、今まで出来なかった分子レベルでの反応や細胞レベルでの生体観察が可能となったからである。現在もフェムト秒を使用した新たなアプリケーションを求めて各企業や、研究機関では研究が進められている。 
では、フェムト秒とはどのような時間なのであろうか。フェムト秒とは、1/1 千兆秒。これは、光が0.3μm しか進めない時間であり、理化学用途で使用されるフェムト秒レーザは、観察用の光源として使用される事が多い。いわゆる、カメラでいうストロボの役割をフェムト秒レーザが担う事である。これを利用することにより、物体の分子レベルでの物性や、細胞レベルでの生体の観察をする事が出来る。 
次に、短パルスレーザについてであるが、独イエナレーザ社(JENOPTIKLaser GmbH)のフェムト秒レーザを参考に紹介していく。イエナオプティック社では、短パルスレーザとしてフェムト秒レーザの製造、販売を行っている(図1)。本レーザは、フェムト秒ファイバレーザをオシレータとして使用し、レーザ結晶としてはディスク状のYb:KYWの結晶を使用したディスクレーザタイプのフェムト秒レーザ(図2)。 
レーザ結晶をディスク状に薄くする事で冷却効率を上げ熱影響を減少させ、高出力時においても優れたビーム品質を保持する事が出来る。他には、高出力を得る為にディスクアンプ方式を採用したり、フェムト秒のレーザパルスを得る為にパルスコンプレッサーを使用している(図3)。

図1 JenLas Disk D2fs

図1 JenLas Disk D2fs

図2 ディスク(左)とディ スクレーザ方式

図2 ディスク(左)とディスクレーザ方式

図3 レーザ内部構成

図3 レーザ内部構成

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/10/ILSJ-1409-26-27.pdf