3Dプリンターで製造したエレクトロニクス・コンポーネンツ

ウォルフガング・ジョン、マルテ・ボーグス

複雑な3D 部品に回路レイアウトをレイヤー毎に作成するプロセスは非常に印象的である。LPKF Laser & Electronics AG 社は従来のプロセスと、これらのプラスチック製のプロトタイプに3D導体を付加するレーザーシステムを導入している。

MID(成形回路部品)は3D回路部品により小型化・微細化が著しく進んだ。MIDは導体が付加された射出成形プラスティック部品であり、単純なクリップが携帯電話用複合アンテナになり、補聴器におけるテスト装具上に部品が直接取り付けられる。レーダー・アンテナは単にプラスティック・ベースに挿入されることにより確実にシンプルに管理される。 
メタル・レイヤーを直接付加するか、金属化する表面を形成することにより(例:ホット・エンボス加工)、導体が3D部品に付加される。他の方法としては、2成分射出成型である。第一ステップで、金属化するプラスティックから導体構造を作成する。第二ステップでは、この構造に金属化しないプラスティックをコーティングする。その後、表面上の初めにプラスティック部品があった場所に金属レイヤーが形成される。 
現在普及してるレーザ造形もこの方法を使っている。射出成型前にプラスティックに添加物を添加し、レーザで表面をエッチング加工および添加物を活性化しながらプラスティック部品上に導体構造を形成、無電槽内でこれらのエリアにメタル・レイヤーが形成される。初めに銅、次にニッケル、銀、もしくは金のレイヤーである。どの方法も、下記の3 つのダイアグラムに示される利点と欠点がある。 
コンピューターアシストによるレーザでの方法は特別なマスクが必要なく、レイアウトデータの変更だけですぐに変更された構造を表示できる。これにより、マーケット投入への時間が著しく短縮され、同時に製造計画の柔軟性が幅広くなった。残り二つの利点は、特にスマートフォンに関連したものである。LDSプロセスは、現在、年間生産量約180MMのプレミアム・スマートフォン用アンテナを製造するのに使用されている。(2009 年20MM)これにより必要なスペース、組み立て費用が低減、マーケット投入への時間が顕著に短縮した。レーザプロセスは精密で柔軟であり、レイアウト変更はただ単に導体構造をCADで編集するだけである。現在は、ラップトップPC やタブレットPCもLDSアンテナが当たり前となっている。

試作時のギャップを最小に

MID コンポーネントは仮組や開発工程のスピードアップのために設計と連続生産の間にいくつかの試作段階がある。生産品と同等の試作品を用意するのは複雑で不可能であった。それは二次元的な方法の場合、射出成形ツールが高価で粉体または真空鋳造に限られ試作が一般的に不可能であったからである。通常の方法では試作工程だけで数カ月を要し、はやりすたれが早いスマートフォンの様な製品ではマーケット参入の遅延を発生させるボトルネックとなっていた。 
造形製造では、部品は金型を使用せずに、CADデータから直接製造される。主要な方法は、溶融堆積造形(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)及び光造形(SLA)である。さまざまな方法で使用可能なプラスチックの範囲は拡大を続け、これにより開発者が後で使用するMID 試作品を最適化された状態で得ることができる。 
SMT2011にてLPKFが発表したLDSプロトタイプは、『ProtoPain LDS』と呼ばれる特別なペイントをベースとしている。LDS ペイントはレーザで活性化する添加物を含んでおり、ラピッド・プロトタイピングで製造されたプラスティック部品の表面をこのペイントでコーティングすることにより、ほぼどのような表面でもレーザによる活性化が行える。 
初めにブランクが形成され、約30~40μm のコーティングが付加される。コーティングの理想的な均一性を確保するのにほとんどの場合2~3回の重ね塗りを行い、コーティングとコーティングの間に熱風炉で数分間熱し、乾燥させ、最後は十分に硬化させる。LPKF社ペイントシステムは、トリガー・ピストル、溶剤、テスト・プレート及び他のアクセサリーが2K カートリッジ内に付属しており、従来のペイント・スプレーは本アプリケーションにて使用される。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/09/TechReport2-ILSJ1209.pdf