常に進化するSpectra-Physicsの産業向け全固体レーザ
創立50周年を迎えたSpectra-Physics
Spectra-Physicsは、レーザが最初に発振した翌年、1961 年に世界初の商用レーザメーカーとして米国シリコンバレーに創立された。常に新たな技術を開発し、製品化した歴史があり、“世界初” を多く輩出し2004年には光学テーブルや光学部品を製造するNew portCorporationの傘下となり、Make, Measure,and Manage Light の企業コンセプトの下、“光の創造” を受け持つ大きな一翼を担っている。本年は創立50周年となる節目の年であり、新たな世界初の製品を続々と発表している。
パラダイムを大きく変えた、Spectra-Physicsの固体レーザの歴史
理科学研究分野から、産業分野まで幅広い製品群を持つ当社であるが、特に産業界への貢献は大きいと自負している。1992年には、それまでランプ励起YAG レーザが主流であった電子部品の加工分野に、高出力半導体レーザ(LD)をファイバーにカップリングすることで、レーザ結晶への端面励起を可能にしたLD 励起YAG レーザを開発、文字通り全固体レーザを実現し市場投入している。これは、レーザ業界において、古いたとえであるが真空管からトランジスタへ、最近であれば電球からLED へとパラダイムを大きく変えたことに匹敵する変化であると考えられる。その後、非線形結晶を用いることで短波長化が試みられ、現在では、2倍波である532nm、3 倍波の355nmそして4倍波である266nm まで、アプリケーションに応じて多彩な波長を選択することが出来る。これらの製品はモジュラー構造を有しており、波長変換モジュールをレーザ共振器の外に置き、それを交換することでそれぞれの波長を発振することが出来る。
高出力LD のファイバーカップリング技術は、結晶への端面励起を可能にしたため、レーザ媒体にYVO4 を使用することが可能になった。YVO4 はYAG に比べ、蛍光寿命が短いため、パルス幅が短く、ピークパワーが高いレーザ光の発振が可能となる。これは波長変換においても非線形効果による変換効率に有利に働くこともあり、波長の多様性を生む要因となっている。特に4 倍波の266nm の製品には大きく寄与している。これらは現在でもHIPPO ™シリーズやNavigator ™シリーズとして多くの納入実績を誇り、業界スタンダードとして現在も需要は多い(図1、2)。
次世代固体パルスレーザ、新たなコンセプトの提案(Mosaic™・ Explorer® XP)
Spectra-Physics は、創立50 周年のこの年に産業向けとして新たなコンセプトの固体パルスレーザ2 機種を発表している。コンパクトQスイッチグリーンレーザのMosaic ™とExplorer® XPである。これらの共通コンセプトは“電源一体型でコンパクト” である。この製品は専用AC/DC 電源を有さず、組み込み側の装置から供給されるDC 電源を駆動源にすることで動作する。励起LDはもちろん、必要とされるエレクトロニクスはすべてレーザヘッドに内蔵されており、ユーザーはDC 電源の供給と制御信号を入力することで、操作を簡単に行うことが出来る。これらは、前述のモジュラー構造で行われた共振器外部での波長変換ではなく、レーザ結晶および波長変換結晶を共振器内部においた内部共振器構造を採用している。そのため、単独では他の波長への変換機能は有さないが、極めて小型化することが出来る。
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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/09/a1617db387da5a7bd1c6a7f44c250a61.pdf