光パワーメータは光のパワーを測定するための機器であり、測定方式によっていくつかの種類がある。また、正しい値を得るためには光パワーメータの特性を正しく理解しなければならない。
ここでは、光パワーメータの種類と測定時における注意点を解説する。

目次

光パワーメータの種類
ビームのパワー測定における注意点

光パワーメータの種類

光パワーメータは、光を受けて電気信号を出力するセンサと出力読み出しのための電子回路系(表示器等)で構成される。センサには、フォトダイオード、サーモパイル、パイロエレクトリックがある。

フォトダイオードセンサ

フォトダイオードセンサは、光電検出器を用いて 入射光子数に比例した 電気信号を測定(光電変換)する。感度が波長に依存するので、単色光源もしくは単色に近い光源とお使いいただける設計となっている。 このセンサから出力される電流は、入射光パワーと波長によって決まる。下記のような特徴がある。

  • 高感度(微弱光の測定が可能)
  • 高速応答性
  • 波長域が狭い(Si:200-1100nm、Ge:700-1800nm、InGaAs:800-1700nm)
  • 波長感度差が大きい
  • 入射角依存性がある

フォトダイオードセンサThorlabs社製フォトダイオードパワーセンサ(モデル:S122C)

サーモパイルセンサ

サーモパイルセンサは、球体でレーザー光を吸収して熱に変換し 温度変化を測定(熱変換)する。広い波長範囲で比較的平坦な応答特性を持つ材料から作られているので、LEDやSLDなどの広帯域光源のパワー測定に適している。下記のような特徴がある。

  • 波長域が広い
  • 測定パワー・エネルギーの範囲が広い
  • 耐久パワー・エネルギー密度が高い
  • 波長感度差が小さい
  • 応答速度が遅い
  • 入射角依存性が少ない

サーモパイルセンサ

Thorlabs社製サーモパイルセンサ(モデル:S305S)

焦電エネルギーセンサ

焦電エネルギーセンサ(パイロエレクトリック)は、吸収体でレーザー光を吸収して熱に変換し 温度変化を測定(熱変換)する。焦電効果を通じて出力電圧を発生させるので、パルス光源の測定に適している(ディテクタの時定数によって繰返し周波数は制限される)。下記のような特徴がある。

  • 高感度
  • 連続パルスのエネルギー測定可能
  • 応答周波数が高い(kHz)
  • 耐久パワー・エネルギー密度が低い
  • 電気ノイズ、空間ノイズ(振動)がのりやすい

焦電エネルギーセンサ

Thorlabs社製焦電エネルギーセンサ

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参考文献

[1] イラスト・図解 光ファイバー通信のしくみがわかる本, 山下 真司, 株式会社技術評論社, pp.274-275, 2002.

ビームのパワー測定における注意点

光計測においてパワー測定は最も基本的な項目である。しかし、正確な測定を行うためには、計測系の特性をきちんと理解した上で、測定方法や測定機器を適切に選択することが重要である。汎用なパワーメータのセンサにはフォトダイオード(PD: photodiode)が用いられることが多く、用途に応じて特性改善がなされている場合があるため、使用において注意が必要である。ここでは光パワー測定時に注意したいパラメータについて説明する。

波長感度特性

PDの感度は波長依存性を有しており、波長が長いほど感度が高くなるという特性を持っている。このため、測定波長に応じた最適なセンサを選択し、必要に応じて感度の校正を行う。可視光から近赤外における代表的なPD材料と感度特性を図1に示す。

規格化波長感度特性

図1 規格化波長感度特性[2]。

最大受光パワー

測定可能な光パワーは、測定機器の電気回路やフォトダイオードの最大電流供給量、光学系の耐エネルギー能力で制限される。フォトダイオードの最大電流供給量は、受光面とビームスポットのサイズによって決まる。受光面積に対して小さいビームスポットの測定では、PDが飽和しやすくなるため注意する。定義はパワーメータによって、単位面積あたりのパワーを規定しているものや、最大受光パワー測定が可能なスポットサイズを規定しているものがある。最大受光パワーを大きくするためには、NDフィルターや拡散板を用いて光強度を低下させてから測定をする。このとき、NDフィルターはエネルギー密度が高いと透過率特性が変動したり劣化する場合があるので注意する。

反射特性

センサと発光点が近いと、センサ受光面の反射光が発光点付近に帰り、その反射光が再び受光されるということが起こる。このような反射光の影響が問題になる場合には、反射率を低下させたセンサの使用や、測定光学系の工夫が必要となる。
反射は屈折率の異なる界面で起こる。反射率Rや透過率Tは屈折率によって以下の関係から求められる。

反射率と透過率

例えば、空気(n~1)とガラス(n~1.5)だと、界面を光が透過する際に約4%の反射が生じる。また、空気からPDを構成するSi(n~3.9)に入射する際には、およそ35%もの反射が生じる。

入射角、偏光依存性

センサ感度はビームの入射角度によって変化する。角度を持った光の反射と透過はビームの偏光状態にも依存し、以下の関係を持つ。

RpとTp

ただし、

nipとnis

θiはビームの入射角である。それぞれ添字はP偏光とS偏光の場合を表す。

受光面積

光の放射角が大きい場合、実際の光束はN.A.で規定された範囲の外側にも光のエネルギーを有しており、規定範囲に近いサイズのセンサで受光すると、実際の光強度よりも低い測定結果となる場合がある。これを避けるため、受光面積に余裕のあるセンサを用いることが望ましい。また、放射される光が受光面積よりも十分広く、放射角分布が一様とみなせる場合は、測定値から単位面積当たりのエネルギーを求めることで、全体のエネルギー測定に換えることも可能である。

面感度分布

受光面内の感度の均一性を表す。一般的なPDでは均一性に優れた感度分布を有するが、局所的に大きな光パワー密度を与えた場合にその箇所において性能が劣化することもあるので注意する。

パルス応答特性

光ディスクなどでは、パルス繰り返し周期が数100 MHz、ディーティ比が数10%で書き込みが行われる。このような書き込みパルスのピーク値は一般的な平均値表示型の光パワーメータで測定した値をデューティ比で除算することで算出できる。テューティ比が不確定な場合はピークパワー測定機能のある光パワーメータが用いられる。

測定事例として、大容量光ディスク(Blu-ray Disc)の光ピックアップ部における光パワー測定について述べる。Blu-ray Discでは書き込み密度を高めるため、波長400 nm程の短波長レーザーダイオード(LD)や、高いN.A.の光学系 (N.A. ~0.85)を用いる。このような素子の光パワー測定を行うには、幾つかの点に注意する必要がある。例えば、受光素子の感度は波長依存性を持つため、発振波長が異なっていると、測定される光パワーに誤差が生じる。このような場合は、センサの波長依存性を補正し、特定の波長範囲における感度の平坦化が有効である。これにより、個々のレーザーで発振波長が異なっていても正確な光パワーの計測が可能となる。高N.A.の光学系を用いる場合は入射角度依存性の影響が大きく現れるので、実際に動作する環境に似た環境で測定をすることが重要である。また、センサとピックアップレンズ間が短く反射の影響を考慮する必要があるため、反射率が低いセンサが使用される。

参考文献

[1] 松本弘一 編「光測定器ガイド 全面改訂版」オプトロニクス社(2004)
[2] Spectrum Detector Inc. (https://www.crazyfingers.com/spectrum/index.php)

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