光源の波長や線幅は基本的な光学特性である。例えば、特に線幅の細い光を高密度に配置して光伝送を行う波長多重(WDM)方式においては非常に重要な光学特性となる。光の波長や光スペクトルの測定法は、主に次の3つに大別される:(1)分散分光方式、(2)フーリエ分光方式、(3)光ヘテロダイン方式。(1)は、分散素子を用いて光を波長に分けて、波長ごとに光検出を行う手法である。光スペクトラムアナライザ(OSA)や分光光度計などに用いられる。(2)は、測定光と参照光を並列にマイケルソン干渉計へ導入し、各光の干渉縞パターンの変化をカウントすることで、測定光の波長を相対的に算出する。(3)は、測定光と参照光のヘテロダイン検出を行い、高精度に光の周波数を測定する。ここでは、各方式の測定原理の詳細と特長について説明する。

1. 分散分光方式

1.1. モノクロメータ方式

この方式では、光バンドパスフィルターの中心波長を掃引させながら光検出を行い、得られた電気信号を、横軸に透過波長、縦軸に信号強度を表すグラフにプロットすることで光スペクトラムを取得する。構成を図1に示す。光バンドパスフィルターは、グレーティングやプリズムなどの分散素子と余分な波長の光を遮るスリットから構成されており、モノクロメータと呼ばれる。この方式では、測定波長範囲を容易に広くできる他、分解能を任意に設定できる、絶対波長を測定できるといったメリットがある。また、モノクロメータを多段にすることでダイナミックレンジを容易に拡大することができる。このため、一般的な光スペクトラムアナライザでは、この方式が採用されている。

図1

図1 光スペクトラムアナライザ構成概略図

ツェルニ・ターナ型モノクロメータの構造を図2(a)に示す。モノクロメータの透過波長は次式で得られる。
eq1
この時、dm、はそれぞれ回折格子の格子定数と、回折次数を表す。θ0およびθは、グレーティングへの入射光と出射光の挟み角、グレーティングの設定角度を示す。また、波長分解能(RBW)は以下の式で与えられる。
eq2
fSβはそれぞれ、放物面鏡の焦点距離、スリットの幅、回折格子の反射面法線と出射光とのなす角度を示す。放物面鏡の焦点距離が固定のものだと考えると、スリットの幅を変えることで、容易にRBWを切り替えることができる。

最近では、グレーティングおよびスリットを2度通過させるダブルパス型モノクロメータが一般的に用いられている。図2(b)に概略図を示す。この方式では、1枚のグレーティングで2回の回折を行うことで、回折による分散を大きく取り、波長分解能やダイナミックレンジを向上させている。他にもマルチパス型にしてより分解能やダイナミックレンジの向上を狙った方式もある。

図2'

図2  モノクロメータ (a)シングルパス型 (b)ダブルパス型

1.2. ポリクロメータ方式

この方式では、分散素子によって分けられた光をアレイ型検出器によって一斉に検出する。機械可動部が無いため、小型化、簡易化が容易であり、高速に波長をモニタできる。概略図を図3に示す。分散素子にはグレーティングの表面にプリズムを取り付けたものが用いられる。回折光はプリズムで反射され、再び回折格子を通過するダブルパス型構成が取られている(図3(b))。
RBWはアレイ型検出器のピクセル数(間隔)によって制限されるが、信号処理を行うことでピクセル間隔を上回る分解能を得る方法なども考案されている。信号の線幅が分解能よりも十分に狭い場合は、信号近傍の雑音が積算されることで、雑音レベルが上がってしまうことに注意する。

図4

図3 ポリクロメータ方式波長計

2. フーリエ分光方式

この方式では、信号光と既知波長の参照光を同一の干渉計に導入し、遅延を変えた時の干渉縞の変化から波長を測定する。光学系概略図を図4に示す。信号光と参照光は、遅延が可変なマイケルソン干渉計に導入される。この時、信号光と参照光は、別々の光検出器で検出を行うため、光路が重ならないように配置される。遅延量を変化させると、遅延量に応じて検出光強度が変化する。
まず、単一波長の場合を考える。光の波長をλ、光路差をDとすれば、Dのとき、光は強め合う干渉をし、D=(m+1/2)λのとき、光は弱め合う干渉をする。ここで、遅延量Lを移動させた時の光強度は、
eq3
となる。参照光の波長をλ0とすると、干渉縞強度の増減回数を用いて信号光の波長は、
eq4
となる。ここで、klはそれぞれ信号光と参照光の干渉縞強度の増減回数を示す。この方式では、参照光の波長確度が高い程、高確度の波長計測が行える。
次に、波長多重光の場合は、測定された信号光の干渉縞パターンのフーリエ変換を行う。この干渉縞パターンには、参照光と信号光に含まれる複数の波長との干渉縞パターンが重畳している。干渉縞パターンのフーリエ変換を行うことで、信号光に含まれる波長成分を分解して取り出すことができ、また、その相対強度が求められる。干渉パターンはA/D変換された後、計算機によって離散フーリエ変換される。

図5

図4 フーリエ分光方式

3. 光ヘテロダイン方式

この方式では、信号光と、僅かに周波数の異なる参照光同士を干渉させて、光の周波数(~THz)を電気の周波数領域(~GHz)に変換して波長を計測する。このため、高精度に光の周波数(波長)を求められる。以下に示すような周波数の異なる2つの光の干渉を考える。
eq5
fiϕi(i=1, 2)はそれぞれ、光の周波数と位相を表す。これらの光を重ね合わせたときの光強度は以下の式で与えられる。
eq6
ここで、〈 〉は時間平均を取っていることを示し、Δfは周波数の差を、Δϕは位相差を表す。すなわち、光強度はΔfで振動する。これを「うなり」または「光ビート」と呼び、このビートから周波数情報を測定することを「光ヘテロダイン」と言う。測定したい信号光とわずかに周波数が異なる参照光を用いると、電気の周波数領域にまで周波数を落とすことができるため、非常に高い精度の周波数測定が行える。光ビートの計測には、ロックインアンプやRFスペクトラムアナライザなどが用いられる。

図6

図5 光ヘテロダイン方式

参考文献

松本弘一 編「光測定器ガイド 全面改訂版」オプトロニクス社(2004)

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