レーザー加工は大きく分けて「レーザー発振器系」、「加工光学系」、「加工物質系」の3つの系で構成されている。それぞれの系には多くの制御パラメータがあり、加工目的に応じてここのパラメータを最適化する必要がある。図1に各パラメータを示す。
なお、これらのパラメータ全てを自由に選択できることは無い。例えばレーザー発振器を選択した段階で加工光学系はある程度制限される。
各種パラメータ
以下に、図1中に示したパラメータを抜き出し、各項目を簡単に解説する。
レーザー発振器系
レーザー発振器の波長の種類や方式によって光の性質が異なり、材料の反応や光吸収が異なってくる。パルスレーザーの場合は1パルスの持続時間もプロセスの種類を決定する重要なパラメータとなる。
- 波長
- 発振形態(CW or パルス-パルス幅、繰返し、パルスエネルギー)
- パワー、パワー密度
- パターン形状、ビームモード(シングルモード or マルチモード)
- 出力安定度、安定性、操作性、価格、ランニングコスト、耐震性、対埃性
加工光学系
伝送システムやビーム形状、レンズによってワークの空間的なフレキシビリティや、加工物質の一定面積内にどれだけのエネルギーやパワーが投入されるかが決まる。以下に、加工光学系のパラメータを示す。
- 伝送システム(ミラー or 光ファイバー)
- ビーム形状、ビーム径、ひろがり角
- レンズ(焦点距離、収差)
- スポットサイズ(最小径、焦点深度、焦点はずし)
- シールドガス、アシストガス(成分、圧力、流量)
- ノズル(形状、位置、方向)
鋼板のレーザー切断などでは、シングルモードの連続発振CO2レーザーを、O2ガスをアシストガスとして吹き付けながら走査する方法が一般的である。
加工物系
加工物(材料)はそれぞれ特有の分子・原子の結合状態を持っており、これらが熱に対する性質を決める。そしてレーザー加工ではこれらの性質を現す反射率、吸収率、熱伝導率が重要なパラメータとなっている。
- 光学的性質(反射率、吸収率、透過率)
- 熱的性質
(熱伝導率、熱拡散率、密度、比熱、熱容量、融解温度、融解熱、気化温度、気化熱) - 材質、形状、寸法
- 面粗さ、表面状態、温度
- 加工物の保持法、精度、送り速度
高出力のレーザーを用いれば、加工物の送り速度が早くても確実に加工が行える。しかしレーザーの出力がそれほど高くない場合は送り速度を適切に決めなければならない。
Reference and Links
- 絵ときレーザー加工基礎の基礎、新井武二
- レーザー加工の基礎、渡部武弘、レーザーEXPO特別技術セミナー資料
- 実用レーザー加工技術、横谷篤至、レーザーEXPO特別技術セミナー資料
- レーザー加工機
- 高精度ファイバーレーザー切断機