レーザー溶接の特長
異種材料間の溶接が可能
レーザー加工ではレーザーのエネルギー密度やパワー密度を非常に高くすることができる。これにより、融点の異なる場合でも時間差がなく溶融できるので、異種材料間の溶接が可能となる。
高速加工が可能で、残留熱影響層や溶接歪が少ない
レーザービームは瞬時に溶接を引き起こすため高速に加工することができる。高速で加工できるので熱影響層や溶接歪の少ない加工が実現できる。
溶込み比(溶融深さ/溶融ビート幅)が高い
レーザーはきつく絞ればパワーの集中性が極めて高いため、溶融ビート幅を狭くすることが可能である。また、ビートの形状がキレイにそろう。
加工反力を伴わない
レーザーは非接触加工のために加工反力をほとんど伴わない。
溶接のフレキシビリティが高い
レーザーは大気中を自由に伝送できるので溶接のフレキシビリティーが高く、制御性に優れている。このため、レーザーを分岐して時間差を設けて加工するタイムシェアリングや長焦点距離の集光によって、空間にビームを飛ばして加工するビームスキャン溶接や、ライン対応の溶接加工が可能である。この他にも、電子ビーム溶接と比較して真空室が不要、磁場の影響を受けない、X線遮断が不要などのメリットが大きい。
レーザー溶接の短所
厳重なギャップ管理が必要
レーザーはエネルギーの集中性や光の集光性が極めてよいので小さいスポット径を得ることができるが、その反面、加工材料の溶接面の前加工(前処理)が必要で、溶接時には厳重なギャップ管理を要する。
システムが高価で大型
普及しているレーザー装置の電気から光へのエネルギー変換効率があまり良くない(CO2:10%程度、ランプ励起YAG:1~4%)。また、一般に材料表面ではレーザー光は反射するので、溶接用として用いる場合にはより高い出力エネルギーを要する。したがってトータルのエネルギー効率が低いために、付加価値の高い溶接が必要である。また、システム装置が大型化してしまうのは避けられない。
Reference and Links
- 絵ときレーザー加工基礎の基礎、新井武二
- レーザーが変える加工技術、安永暢男
- 実用レーザー加工応用ハンドブック、オプトロニクス社編集部編
- ハンドトーチレーザー溶接機
- 高精度ファイバーレーザー切断機