ここではレーザー加工の特長を以下の7つに分けそれぞれを簡単に説明する。その後、レーザー加工の短所を簡単に示す。
- 微細加工特性
- 精密加工特性
- 高パワー密度、高エネルギー密度
- 深溶込み特性
- 高速・高効率加工
- 化学反応の利用が可能
- 高フレキシビリティー
※この他にも、型の製作が不要なので、多品種少量生産に向いていることや、市販の画像処理アプリケーションで製作したデータをそのままレーザー加工に用いることが可能であるなどの特徴もある。
レーザー加工7つの特長
微細加工特性
レーザーは指向性と集光性が良いため、微細加工幅あるいは微細加工面積での加工が可能。レーザーの照射部位の面積(加工精度)は集光スポット径、レーザーの波長、レンズの開口数、ビーム品質で決まが、最近は紫外域の短波長レーザーや短パルスレーザーを用いて更なる加工精度の改善がされている。
精密加工特性
レーザー加工は加熱エリアが小さく、また非接触加工であるので、加工ひずみ量あるいは加工ひずみ領域が少ない。
高パワー密度・高エネルギー密度
レーザービームをレンズにより集光することによって、109 W/cm2に達する高密度エネルギーを得られるので、ほとんどの材料(金属・ガラス・有機材料など)を溶融もしくは蒸発させることができる。
深溶込み特性
中・厚板の溶接が可能。適当なパワー密度を選定することで、TIG溶接(ティグ溶接:Wikipediaで見る)やMIG溶接中(ミグ溶接:Wikipediaで見る)と比べ、溶融ビート幅が狭く、溶融深さが大きく、熱影響層や溶接歪の小さい接合が可能。
高能率加工
レーザー加工では微小領域にエネルギーを集中し、非常に効率的に材料の溶融あるいは蒸発を起こすので、切断速度や溶接速度を大きくすることができる。また局所処理が可能で、前後工程が不要といった利点を考慮すれば、トータルのプロセスとしてかなりの高速処理が可能だと言える。
化学反応の利用が可能
レーザー加工はレーザーと材料の相互作用の結果であり、光合成、光分解、合金元素添加、化学反応の利用が可能である。
高フレキシビリティー
レーザー加工はハードからソフトまで様々なパラメーターを自由に選択できるフレキシビリティの高い加工である。レーザー加工のフレキシビリティについてはまた別の記事で解説する。
レーザー加工の短所
上記のようにレーザー加工には好ましい特徴が数多くある。だが、レーザー加工にはこれらの特徴の裏返しとも言える欠点がある。それは加工作業員に光学の知識が必要であることによる作業員の不足である。また、他の加工機の導入と比べ、レーザー加工機の導入ではイニシャルコストが高額になってしまう場合があることも現段階の短所である。
参考文献
- [1] レーザー加工の基礎、渡部武弘、レーザーEXPO特別技術セミナー資料
- [2] 実用レーザー加工技術、横谷篤至、レーザーEXPO特別技術セミナー資料
- [3] レーザーが変える加工技術、安永暢男