リアルタイム動作に近づくホログラフィックテレプレゼンス
何十年もの間、3次元(3D)ホロビジョンがSF小説の人気を支えてきた。その有名な例が最初の映画スター・ウォーズでロボットR2-D2によって投影されたレイア姫の小さな像である。しかし、テレビ用ホログラフィックの後継技術を開発する試みはほとんど進展がなかった。最近、米アリゾナ大学教授のナセル・ペイガムバリアン氏が率いる研究チームは、3D画像をほぼリアルタイムで2点間を伝送させることができる現実のホログラフィックシステムを実証した(1)。
ホログラム映画は一連のホログラムを含むフィルムを照明することによって投影されるが、リアルタイムホロビジョンはかなり厄介な問題を抱える。前もって作成されたフィルムから画像を投影する代わりに、ホロビジョンは一連のホログラフィック画像を投影するため、一連のホログラムを表示することができる材料が必要になる。ホログラムの書き込みと消去をビデオフレームレートで反復することが可能な材料の開発は骨の折れる仕事であった。
いくつかの光学的トリックを使用してホロビジョンのシミュレーションが実施された。英ミュージョン・システムズ社は「ホログラフィックテレプレゼンス」を商品化すると明言したが、このシステムはホログラフィック技術は使用せず、代わりに高精密な2D画像を半透明箔上に投影し、視聴者にとっては3D画像に見えるように工夫されている。もう一つの例は、CNNの「ホログラフィックレポーター」であるが、これはさまざまな錯覚を利用したデジタル画像融合であった。
書き換え可能ホログラムとしての利用を目的として、液晶やフォトリフラクティブ材料など、光によって屈折率の持続的変化を起こす各種材料が試験された。無機結晶は光屈折効果を示すが、適切なサイズで作製することが困難である。2年前、ペイガムバリアン氏のチームは、フォトリフラクティブポリマならば、更新可能な3Dホログラフィックディスプレイ用のかなり大型のホログラム作製が可能であることに気づいた(2)。ディスプレイに送信しなければならない情報量を制限するために、研究チームはホログラフィック立体画法を採用した。多くの角度から被写体の2D写真を撮影し、それらをあたかも視聴者がさまざまな角度から見ているかのような3Dホログラムへと合体させた。しかし、このシステムは単色であり、新たな画像形成には4分以上の時間を要し、リアルタイムにはほど遠かった。
1画像あたり2秒
最近、ペイガムバリアン氏のチームと米国の日東電工テクニカルコーポレーションの研究チームは新しいポリマに基づくレーザシステムを組立てた。書き込み速度を改善するために、彼らは、連続波(CW)周波数逓倍Nd:YAGレーザに代えて、6ns、200mJのパルスを50Hzの繰返し周波数で発生する2重ネオジムシステムを使用した。各パルスは10×10cmのポリマ片上に800μmのストライプを書き込み、2秒間で完成ホログラムを創成した。短パルスの利用によって、従来装置を悩ませた振動問題も解決された。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/02/f81b402e7517e0b34d711fd71d6505eb.pdf