OCTの妥協を不要にする干渉測定合成開口顕微鏡法
1990年代初期、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は広帯域干渉測定と走査型光学顕微鏡法の融合技術として登場した(1)。今日では、OCTは研究室の外でも、特に眼科診断ツールとして利用されるようになり、軸方向の深度測距を可能にし、さらなる空間次元でデータが取得されさえすれば 2次元(2D)または3Dのイメージングも提供する。現在、さまざまなコヒーレンスをもつ光源を使う多数の改良型OCTが実際に存在し、それらは共通して広いスペクトル範囲での干渉測定によってデータを取得する能力をもっている。
OCTの軸方向解像度は光源/検出器の帯域幅の逆数に比例するため、光源の帯域幅を増すことによって改善されるはずだ。横方向解像度は集光システムの開口数(NA)に反比例する。しかし、その画像はいわゆる共焦点領域内、すなわち焦点面のレイリー範囲内で使用可能であるにすぎない。あいにく、この共焦点領域はNAが増すにつれ小さくなる。したがって、いくつかの点で、焦点深度(共焦点長)とシステムの横方向解像度との間の妥協が必要であった。しかし、新しいコンピュータイメージング法、いわゆる干渉測定合成開口顕微鏡法を使えば、このような妥協はもはや必要ない。
コンピュータイメージング
コンピュータイメージング法の出現にはハードウエア、理論、利用可能な演算能力の並行開発が必要である。例えば、測定手段、必要な理論と主要な数値ツール、高速フーリエ変換(FFT)はかなり前に確立されていたが、1970年代の初期にコンピュータの計算能力が利用可能になって初めてコンピュータトモグラフィ(CT)と磁気共鳴イメージング(MRI)が革命的に進歩した。
光学において、強い前提なしに物体構造を確実に決定するには、電場(位相と振幅)の推定を可能にする測定が必要である。例えば、ホログラフィ法もまさにこのような後処理目的で開発されたものである(2)。すなわち、ホログラフィは、標準的な顕微鏡画像を取得するための電場を記録して、後操作する方法として提案された。その後、ホログラム、より正確にいえば一連のホログラムは潜在的な物体構造をエンコードしているらしいこと、その構造が計算可能であることが明らかになった(3)。既知の平面波照射の場合、散乱場の平面波振幅は試料感受率のフーリエ変換の特定要素に比例する。回折トモグラフィは、この技術が知られるようになると、多数の位相コヒーレンスホログラムの取得を要求したが、実現不可能であった。しかし、長い年月の間に、いくつかの優れた前進があり、文献においても議論された(4)。
より良い画像を生成するために電場を再処理するガボール(Gabor)の独創的なアイデアがデジタル時代に復活することになった。ホログラフィック再集束法では、デジタルホログラムは物理的レンズの代わりに複素伝達関数を使ってコンボリューションされる。これは、実際にはFFTの採用、適切な関数の乗算、逆FFT(iFFT)の採用による計算効率の高い方法で実行される。本質的に、OCTは多周波ホログラムを提供し、再集束法が周波数ごとに適用され、焦点面を均ーにレイリー領域外の面へと高効率で移動させる(5) 。しかし、オリジナルの焦点面画像は焦点外に存在する。
回折トモグラフィの鍵となる発想は、強度を得るために場の処理を先に済ませることであり、潜在する物体構造を特定するために逆問題の直接解を支持することによって、その物体により近似させる。単色場で構成された単一の2Dホログラムが完全に任意の3D関数をエンコードすることは明らかに不可能である。したがって、回折トモグラフィにおいては複数のホログラフィックビューが必要になる。しかし、OCT は単一の2D スキャンまたは単一の完全フィールド画像から異なる周波数での複数のホログラムを提供する。これらのデータは逆問題を解くには十分ではなく、任意の物体に対して三つの空間座標と周波数の関数が必要になる。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/03/85e1c430b4aac757d93726f26f3f7e37.pdf