1Hzで動作する8.8nmテーブルトップX線レーザ
米誌Laser Focus World 2011年7月号で報告したように、解像度25nmのイメージングをわずか30sで実現した13nmテーブルトップX 線源のデモンストレーションは、従来光源による80minで30~50nmの解像度と対比して、実に印象深かった。しかし今や、全米科学財団 極端紫外線科学技術・工学研究センター(NSF EUVERC)とコロラド州立大学の研究チームは、米カリフォルニア大学バークレー校とオークリッジ国立研究所とのコラボレーションにより、1Hzの繰り返し率で動作する高パルスエネルギーの8.8nmテーブルトップX線レーザ源を開発した(1)。プラズマベース方式でX線波長を10.9nm以下に短縮するこれまでの試みでは、一般に繰り返し率が1 時間あたり数ショットに制限されてきた。
より低い励起エネルギー
最近まで、10nm以下の波長の軟X線レーザは適切な材料を数十Jのエネルギーで励起して発生させた。しかし、この研究チームは1~2mm厚みの固体ニッケル様ランタン(La)ターゲットをわずか7.5Jの光エネルギーで励起することによって利得飽和8.8nmレーザを発振させた。
ポンプセットアップは800nmのTi:サファイアレーザによる2つのパルスから成る(図1)。第1の垂直入射パルスは210ps の半値全幅(FWHM)持続時間と6×1012W/cm2の強度をもち、球面レンズと円柱レンズで30μm×6.4mmの線焦点を作った。このプレパルスはプラズマを急速加熱し、Ni様状態(La+29)のイオンをかなりのパーセンテージで生成した。プラズマ膨張後に、FWHM持続時間3psで4J、6×1014W/cm2の第2のパルスを35°のすれすれ入射角で供給することによって、プラズマを約850eVの電子温度に加熱し、レーザの上準位へとイオンを効率良く励起させた。この入射角は、集光素子を使って均一な30μm×6.4mmの線焦点を維持しながら、ポンプビームエネルギーがプラズマに効率良く結合するように屈折させ、X線発生を最大化した。
通常は、出力を制限するポンプパルスと増幅パルスの伝搬速度間の不整合を解消するために、5ミラーセグメント反射型エシェロンを使って準進行波励起とすることにより、レーザ出力がかなり向上した。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/05/201205_0016wn03.pdf