超低損失のスローライト導波路を構築する高コントラスト回折格子
米カリフォルニア大学(UC)バークレー校のコニー・チャンハスナイン教授率いる研究チームによって最初に開発された高コントラスト回折格子(HCG)、すなわち半導体材料と空気(またはシリコン)からなるサブ波長周期の交互のストライプは、反射鏡、レンズ、高Q共振器、垂直面内カプラ、チューナブル垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL)さえも含む、多様なオプトエレクトロニクス素子を組み立てるための新しい集積フォトニクスのプラットフォームとして使われている。現在、UCバークレーチームと米国陸軍研究所(ARL)の科学者たちは、従来の光学材料から製造されたデバイスに比べて超低損失の中空スローライト導波路を開発して実験で証明することを目指して、このHCGプラットフォームのさらなる研究に取り組んでいる。
4枚のHCG壁
均質材料から作られた中空導波路と違って、この超低損失導波路は、各HCGの交互に並ぶシリコンとエアギャップを使って正方形の開放構造を形成する4枚のHCG「壁」からなる(図1)。UCバークレー校で開発されたモデリングとシミュレーションソフトウェアを使用して、導波路メタ構造の外形寸法と面間隔が100%反射とゼロコア吸収に向けて最適化された。その分散曲線にゼロ傾き(高効率、ゼロ群速度)を発生させるために位相遷移を設計することで、この中空導波路は、超低損失に加えて、半導体ベースのチップスケール集積オプトエレクトロニクス素子用の長時間遅延または高Q共振器を作り出すのに役立つ高分散または「スローライト」特性も持つように加工された。
現在、2D シミュレーションモデルは1対のHCGを使って導波路メタ構造の物理パラメータを最適化しているが、より複雑な3D モデルが導波路パラメータの微調整目的で開発された。
絶縁体上シリコン(SOI)ウエハの2D表面から3D導波路を組み立てるために、ARLの研究者たちは、複雑な多層堆積、再成長、マルチリソグラフィーアライメント、ウエハフリップボンディングなどを必要としない、新しい自己整合、「単一」改良形ボッシュプラズマエッチング工程を開発した(1)。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/06/201206_0012wn01.pdf