眼内迷光を測定するための光集積型機器

人の目における、眼内迷光とは、網膜上の意図された焦点からかなり離れた、実際には最高約5°離れた網膜を襲うベイリンググレアのことである。従来、これは、被験者に輝点オブジェクトを見させ、それから、何を見ているかを尋ねるといったテストによって測定された。このような間接的測定では、量的な情報はほとんどあるいは全く得られない。眼内迷光測定用の機器設計も試みられたが、わずか約0.5°外側までを測定する装置に終始し、問題のグレアの多くを見落とす結果になった。
 スペインのムルシア大学(Universidad de Murcia)光学研究所とギリシャのクレタ大学(University of Crete)ビジョン・光学研究所の研究チームは、二重光路光集積化に基づく簡単な眼科機器を考案した。これは3°〜8°の範囲の角度で眼内迷光を測定する機器であり、臨床応用に適している(1)。
 この機器の光源は、ディフューザで均質化された出力をもつ約530nmの緑色光(視覚のほとんどに関連しているスペクトル領域)を放射するLEDアレイである(図1)。この光源からの光を中心外し光学系で網膜上に投影して、網膜上の迷光領域からの反射光を集め、この領域を米エクセリタス社(Excelitas)製のシリコン光電子増倍管上に結像させる。検出器前面に配置された可動式スリットが迷光領域の走査を可能にする。
 LED光源は2つの同心状ゾーンに分割され、その各々が独立して信号を取得できるように異なる速度で変調される。第1のゾーンは、769Hzで変調された3°直径のディスクであり、第2は、483Hzで変調されたその周りの3°と8°の間の角度をカバーするリングである。両周波数はデータ収集インタフェースに使用されたサンプリングレートの48kHzに比べてかなり低い。照明アームのスリット状ダイヤフラムが目に供給される光パワーを角膜面で90μW以下に制限する。

図1

図1 この眼科機器は人の目における3°と8°の間の角度距離の迷光を測定する。2台の瞳孔カメラが、目に対する機器アラインメントを容易にする分割スクリーンビューを提供する。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/11/WN3-_LFWJ2014_11-4.pdf