マルチコントラストな非線形イメージングが可能にする腫瘍の微小環境の発見
腫瘍の微小環境(隣接する細胞や分子、成長をサポートする血管系)を理解することは、がん研究において大きなインパクトをもたらすが、適切なイメージング法がないために進展が拒まれている。米イリノイ大(University of Illinois)の科学者らは、マルチコントラストな非線形イメージングを発表している。このアプローチは、腫瘍がどのように始まり、そして広がっていくかについて、新たな知見をさらに得るために用いられている(1)。
この手法は、組織に固有の非線形光学特性を観察することに加えて、血管新生、細胞外マトリックスの再編成、非ネイティブな細胞動員といった初期の成長サインを同時に可視化しやすくする。これらのイベントが同時に変化することが必要であると、この技術は示している。すなわち、特定の細胞外小胞が豊富になることと、生合成に向けての代謝スイッチである。この同時発生によって、がんの成長についての詳細が明らかになり、診断や治療に向けて新しい戦略が可能になるかもしれない。
パルス整形多光子顕微鏡
この技術を適用させるため、研究者らはパルス整形多光子顕微鏡を開発した。ダイクロイックミラー(米ソーラボ社(Thorlabs)のDMLP900)に反射して生じたスーパーコンティニウム(780 ~ 880nm)の短波長のエッジは、コヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)のポンプビームとして機能する。工業用のパルス整形回路に向かうメインのスーパーコンティニウム(900 ~ 1300nm)はCARSのストークスまたは励起ビームであり、AF(2)、AF(3)、χ(2)SHG、χ(3)THGとのコントラストを生じさせる(図1)。コンピュータ制御された回路はストークスビームに光学遅延をもたらし、スペクトル集束したCARSが可能になる。そして、χ(3)CARSの振動コントラストを集める。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/05/LFWJ1705_WN3.pdf