DARPAの神経インタフェースプログラムの基礎となるオプトジェネティクス

神経工学システムデザイン(Neural Engineering System Design:NESD)プログラムは、脳とデジタルワールドの間で行われる正確なコミュニケーションを推進するために2016年に始まったが、大きなステップに入っている。2017年7月、創設元である米国防高等研究事業局(DARPA)が、このアイデアの実現をサポートするため、今後4年間で6500万ドルを提供する。高解像度な神経インタフェースを制作、実証するために6チームが選ばれた。また、3チームが、感覚障害の将来的な治療法の基礎になると見込まれている、植え込みシステムの一部として光学技術を追跡している。これらのいずれにおいても、オプトジェネティクスが大きな特徴となっている。
 軍事を支援する新技術に関わる米国防総省のDARPAは、神経細胞の電気化学的信号からバイナリコードへの変換を非常に強くするインタフェースを目指している。資金は、基礎研究(脳が聴く、話す、見る、を同時に行う処理についての知見を深めること)と、神経活動を効率よく解釈するための生体適応技術をカバーする。

読み取り・書き込みと神経細胞

あるプロジェクトでは、米カリフォルニア大バークレー校(University of California, Berkeley)のエフド・イサコフ氏(Ehud Isacoff)が率いるチームが2160万ドルを受け取った。彼らは、大脳皮質で神経細胞活性を検出する新規の「ライトフィールド」のホログラフィ顕微鏡の開発と、数千、さらには数百万個の神経細胞を一細胞の精度で制御する光の活用を目指している。究極の目的は、「脳から読み取る」ことと「脳に書き込む」ことを医師が可能にすることである。目的実現までの間、チームは、視覚と触覚において、外部刺激に反応する神経細胞を予測する定量的なコード化モデルの研究を続ける。研究者はその予測を、特定の反応を引き起こすための光刺激パターン構築に活用しようとしている。皮質への知覚をコード化できれば、失明患者がものを見たり、麻痺患者がものに触れたことを感じたりできるだろう。また、たとえば、義肢の複雑なコントロールに必要な閉ループの入出力にも期待できる。
 脳とのコミュニケーションを可能にするためには、活動電位が発火したときに蛍光を発したり、神経細胞が光パルスに反応したりできるよう、神経細胞を遺伝的に改変する。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2018/01/wn4_bio1.pdf