Laser Focus World誌、2018 Innovators Awardsを発表

Laser Focus World誌は今回初めて、フォトニクス市場における独自性と革新性に優れた技術、製品、システムを表彰するInnovators Awards Programを実施した。

本誌審査員による公平な評価に基づき、銅賞(Bronze)、銀賞(Silver)、金賞(Gold)、プラチナ賞(Platinum)の4段階で、製品または技術、アプリケーション、研究開発で卓越した成果を示した企業または組織の受賞選考を行った。
 応募作品を、独自性、革新性、設計者やシステムインテグレーター、ユーザーに与えるインパクト、新規市場のニーズを満たしているかどうか、新規技術の活用度、生産性への貢献度を基準に評価した。
 Innovators Awards Programの受賞者決定を祝して、Laser Focus Worldは2018年5月10日、すべての受賞者を対象にウェブキャストの授賞式を開催し、CLEO期間中にトロフィーを受賞者に直接手渡した。
 本稿では、2018年の受賞作品について、各受賞者自身の言葉で紹介してもらうことで、今日の最先端のフォトニクス製品および応用事例の概観を示したいと思う。

銅賞
2018 Innovators Awards:銅賞受賞者

米アクセス・レーザ社社(Access Laser Company)–「DL-500」。
歯を温存する治療への移行を支えるには、新しいレーザが必要だった。市場で提供されているどのシールドCO2レーザよりも高速なパルスを出力するアクセス・レーザ社のDL-500は、25年に及ぶ学術研究に基づいて定められた各パラメータを満たす。予防医学という世界的な医療トレンドの進行を促進するために、DL-500は、スポット径を大きくしてビームの流束量を抑えることにより、エナメル質の結晶構造変化を可能とするように設計されている。

メキシコのレーザテック社(Laser Tech S.A. DE C.V.)–「ファイバレーザとプラズマによる2Dおよび3D金属加工用システム」。
このシステムは、3つのプロセスを1台のマシンに搭載し、金属を2次元と3次元で加工できる市場唯一のシステムという点で独自性がある。ファイバレーザとプラズマを採用するこの2Dおよび3D金属加工用システムには、ファイバレーザとプラズマを備えた板金切断用のCNCと、ファイバレーザによる金属切断と溶接のためのロボットアームが搭載されている。

米フォトニクス・インダストリーズ・インターナショナル社(Photonics Indus tries International)–「DSH-355-40レーザ」。
UVナノ秒レーザのDSH-355-40は、M2<1.1の標準ビーム品質で1%未満の P-P安定性を標準装備し、所有コスト(CoO:Cost of Ownership)は市場で最も低い。オールインワン(AIO:All In One)型でコンパクトな工業グレードのシングルボックス設計により、最小フットプリントと最小消費電力を達成している。また、AIOのシングルボックス設計は、別のコントローラや電源ボックス、アンビリカルケーブルの管理を不要とすることで、実装の簡素化にもつながっており、占有面積が縮小されるだけでなく、信頼性も向上している。ドライバやアンビリカルケーブルをなくしたことで、DSH-355-40はロボット用途に向けて構台上に垂直に設置することもできる。

銀賞
2018 Innovators Awards:銀賞受賞者

ポルトガルのアディラ・メタルフォーミング・ソリューションズ社(ADIRA Metal-Forming Solutions S.A. )–「 ACAddCreator」。
新しいAC AddCreatorシステムは、アディラ社が2016年に初めて発表したモジュール式チャンバの概念を前進させ、産業用積層造形(AM:Additive Manufac-turing)システムの商用シリーズ確立に向けた第一歩となる製品である。この新システムは、寸法の限界をさらに押し上げ、スケーラブルな0.5m3の加工体積と1×1mの加工面積をユーザーに提供する。

中国アドバンスト・ファイバ・リソーシス社(Advanced Fiber Resources)–「SteadiBeam技術」。
SteadiBeam技術は、高出力レーザ業界に古くから存在する熱レンズ効果の問題に解決策をもたらした。これは実証済みで、最小限の追加コストで商用製品に適用済みの唯一の技術である。同技術を採用する製品は、安定したビーム品質を大幅に高め、材料加工結果の向上をもたらしている。

米AFL社(AFL)–「LZM-110A+LAZER Master」。
LZM-110A+LAZERMaster は、 スプライス加工、ガラス加工、ファイバアブレーション加工用の装置で、CO2レーザを熱源として、スプライス加工、(MFAを生成するための)テーパー加工、レンズ加工、(クリーブやモードストリップのための)アブレーション加工や、その他のガラス成形加工(最大ガラス径:2.3mm)を行う。高分解能の光学解析システムが、オンボードのファームウェアと連動することにより、スプライス加工、テーパー加工、ガラス成形加工を完全自動で行うことができる。

米アカマイ・フィジックス社社(Akamai Physics)–「リモートコンプレックス検出と識別のための波長アジャイル・マルチスペクトル中赤外(Mid-IR)ライダ」。
既存のDIALシステムのほとんどが一般的に、2つのプローブ波長に基づくリターンデータしか提供しない。波長可変でマルチスペクトルのこの中赤外ライダシステムは、大きな中赤外波長範囲を走査して、リモートプルームの化学的特徴を正確に識別する。複数の波長吸収データによる大量のリターンデータにより、AI搭載の識別処理システムは、対象プルームにどのような混合または単体化学物質が存在するかを判定することができる。

米 B&Wテック社(B&W Tek)–「ST Raman」。
B&Wテック社のシースルー技術を採用するSTRamanは、これまで以上の侵入深さにおけるラマン(Raman)シグネチャを飛躍的に強化することで、視覚的に不透明な容器内の材料の識別を可能にする。大きなサンプリング領域は、異種サンプルの分析の再現性を大幅に向上し、最小限に抑えられた電力密度は、従来のラマン分光法では光損傷を受けやすい、暗めの材料の測定を容易にする。

米ガンマ・サイエンティフィック社(Gamma Scientific)–「RS-7 Spectral LEDチューナブル光源」。
SpectralLEDチューナブル光源は、組み込まれている最大35種類の個別波長、または、ユーザーによってインポートされたスペクトルを基に、商用光源の合成を行う。このプラットフォームは簡単に改変して、自動テストシステムや製造ラインに統合することができる。搭載されている光学フィードバックと温度制御によって、堅実な安定性と一貫した結果を確保する。

米ホリバ・サイエンティフィック社(Horiba Scientific)–「Duetta蛍光・吸光分光装置」。
Duettaは、蛍光と吸光をコンパクトな装置に統合することによって、大型で低速で時間のかかるマルチステップの走査型蛍光光度計の限界を乗り越え、蛍光分光分析の分野に画期的な進歩をもたらす製品である。Duettaは、1つの装置で紫外・可視・近赤外(UVVis-NIR)の蛍光と吸光を提供する、業界唯一の分光蛍光光度計である。

米オーイーウェーブズ社(OEwaves)–「レーザ位相/ RINノイズ&線幅アナライザ」。
レーザ位相&相対強度雑音(RIN)測定システム(Laser Phase & Relative In ten sity Noise(RIN)Measurement System)は、すべて光学部品で構成されたホモダインアーキテクチュアをベースとしている。連続波(CW:Continuous Wave)レーザに対する、高速で費用対効果の高い位相/周波数およびRINノイズ測定が可能である。測定は、リファレンス源なしで直接行われ、測定された位相ノイズが、システムによって周波数ノイズと線幅に変換される。レーザ位相&相対強度雑音(RIN)測定システムは、幅広い種類のシングルモードレーザおよび超狭線幅レーザのノイズを特性評価することができ、複雑で面倒な測定設定の手間を省く。

米OFS社(OFS)–「ラマンレーザとベリーラージモードエリア(VLMA:Very Large Mode Area)のErドープファイバアンプ」。
OFS社のラマンレーザとベリーラージモードエリアのErドープファイバアンプは、1550nm波長範囲においてErドープファイバアンプではこれまで達成できなかった性能を提供するように設計された、光学モジュールスイートである。アンプは、OFS社製のラマンファイバレーザによって励起され、1480nmにおけるシングルモードファイバの光出力は、最大200Wである。モジュールは、ほかのレーザメーカーのシステムに統合できるように設計されており、高性能ターンキーレーザシステムのカスタムソリューションの迅速な開発を可能にする。

米オリンパス社(Olympus)–「LEXT OLS5000」。
OLS5000は、研究開発に加えて、自動車製造、金属加工、積層造形、電気部品および半導体製造を含む、各種業界の品質管理検査に適している。オリンパス社は、この新しい顕微鏡がさまざまな業界にわたってさらに多くの用途や分野に使用されて、製品性能、作業効率、生産性の新たなレベルの達成に貢献することを期待している。

米オスラム・オプト・セミコンダクターズ社(Osram Opto Semiconductors)–「OSLON Black Flat SFH 4735」。
OSLON Black Flat SFH 4735 LEDは、世界初の広帯域赤外線(IR:infrared)LEDである。650 ~ 1050nmの波長範囲の赤外光を放射する。食品や薬品の評価のほか体脂肪の測定にも適用可能な、近赤外分光分析に適している。SFH 4735は、コンパクトで堅牢で低コストのセンシング技術という、これまで存在しなかった新しい分野を開拓し、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末に、分光計を直接組み込むことを可能にした。

米オスラム・オプト・セミコンダクターズ社–「488nm青緑色レーザダイオードPLT5」。
オスラム・オプト・セミコンダクターズ社の488nm青緑色レーザダイオードであるPLT5は、生物医学業界に新たな機会と応用分野を創出している。多くの燐光マーカーが488nmで励起するため、488nmは、フローサイトメトリーやDNA関連診断といった生物医学診断ツールで最もよく使われる波長の1つとなっている。

米フォトメトリクス社(Photometrics)–「Iris 15科学用CMOSカメラ」。
科学用CMOSカメラのIris 15は、生細胞の顕微鏡観察用に大きな視野を備えるように設計されている。15メガピクセルのセンサと25mmの視野によって、大きな撮像エリアに対して超高解像度の画像を提供することができる。ビデオレートの撮像速度における高い解像度によって、動的な細胞事象を適切に撮影および記録することができる。

米パワー・テクノロジー社(Power Technology)–「Illumina Laser System」。
プロジェクターのメーカーが現在直面する最大の課題は、画面上のさらなる輝度を経済的な価格で提供することである。キセノン電球の限界が、観客動員とスクリーンサイズの増加率低迷の要因となっている。電球の20倍の寿命を備えるIllumina Cinema Laser Sys temは、10年間にわたって初期輝度の80%を維持し、電球を継続的に交換するための費用を不要にする。プロジェクターの使用期間全体で数千ドルのコストを削減するとともに、チケットを購入して来場するさらに多くの観客に、これまでよりも明るく魅力的な体験を提供する。

米ゼマックス社(Zemax)–「OpticStudioのContrast Optimization」。
Contrast Opti mization は、Zemax OpticStudioのバージョン17以降に含まれる機能で、変調伝達関数(MTF:Modulation Trans fer Function)の最適化を10倍高速化することができる(それよりもはるかに高速になるケースもある)。MTF全体を計算する代わりに、必要な空間周波数におけるMTF応答を直接すばやく推定することができる。光学システムの出力瞳孔における2つの光線の間の波面差のシンプルな計算に基づいてこれを行う。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2018/07/ft_innovators_award.pdf