煙霧を透過するSWIRカメラ
秘密工作は一般にサーマルイメージングや暗視技術を使うが 、短波長赤外(SWIR)域は、大気煙霧の透過など、独自の優位性を持っている。
セキュリティ 、防衛、および監視にイメージングシステムを利用することは、赤外(IR)スペクトルの活用に大きく依存している。IRスペクトルは、近、短波、中、および長波赤外(それぞれ、NIR、SWIR、MWIR、LWIR)に分けられる。セキュリティと監視用NIRカメラは一般に微光(暗視)デバイスであるが、MWIR、とLWIRカメラは、サーマルイメージングによって機能する。しかし、SWIRカメラは、単独でセキュリティや監視に役立つ。時にはそれ自体で、また他のイメージャとの組合せで使用されることがよくある。
NIRとSWIRとのスペクトル境界は一般に、約1.4μmと言われているが、この記事では、正確な数字は重要ではない。SWIRとMWIRの境界は一般に3μmと言われている。
煙霧透過イメージング
米センサーズ・アンリミテッド社(Sensors Unlimited)は、米コリンズアエロスペース社(Collins Aerospace)の一部門であり、ハンドヘルドSWIRスコープシステム、エアリアカメラ、ラインスキャンカメラ、リニアフォトダイオードアレイといった多種多様なSWIRイメージャを生産している。センサ技術は、InGaAsベースであり、1991年にセンサーズ・アンリミテッド社が市場に投入した。
これらSWIRデバイスのアプリケーションには、ファシリティ、港、国境警備や監視と他の秘密工作が含まれ。また、軍IRレーザ偵察や追跡も含まれている。例として、GA1280JSX SWIRカメラは高精細(1280×1024ピクセル)センサを搭載しており、最大解像度で1秒に60フレーム(fps)を撮像する。0.9 ~ 1.7μmスペクトルで高感度であり、0.7 ~ 1.7μm、またはオプションで、0.5 ~ 1.7μmの可視・SWIRをカバーする。
「GA1280JSX高精細SWIRカメラの最も有力なセキュリティおよび監視利用の1つは、大気煙霧を通したイメージングである」とセンサーズ・アンリミテッド社のアプリケーションエンジニア、カート・ドヴォンチ氏(Curt Dvonch)は言う。「これら2つの画像(図1)は、同時に撮られており、汚染され、霞んだ環境ではSWIRカメラが可視光カメラをいかに凌ぐものであるかを示している。SWIRカメラが可視光カメラより優れているのは、SWIRフォトンが大気煙霧やスモッグを透過できるからである。一方、可視波長のフォトンは、粒子状物質で重い空気では散乱される」。
多重目標追跡
米フリアーシステムズ社(FLIR Systems)は、同社の焦点面アレイ(FPA)に基づいてInGaAs SWIRカメラを製品化しており、FPAを別売もしている。これらFPAは、容量性トランスインピーダンスアンプリファイア(TIA)デザインとなっている。これは、セキュリティイメージングから高速科学レーザテスト(多重出力と動的ウインドウ生成を要する)までの範囲のアプリケーションに最適化されている。
フリアー社のSWIRカメラの1つ、Bosonは、サイズ、重量、パワー+コスト(SwaP+C)に最適化されている。21×21×28mmサイズ、15.5gレンズレス重量、消費電力<1.6Wで、そのカメラは軍用品質認定されており、サーモエレクトリック冷却器(TEC)なしであるので、SwaP+C最適化達成に役立つ。Bosonよりわずかに大きなTauは、TECを搭載しているので、フィールドでの精密利用に必要な温度安定性が得られる。Tauカメラは、サイズ38×38×36mm、消費電力は3.2W以下。両方のカメラともSWIR(0.9 ~ 1.7μm)と可視・SWIR(0.6 ~ 1.7μm)バージョンがある。
カメラだけでなく、同社は全地形型偵察・観察車輌、LTV-X(図 2)を製造している。これは、交換可能搭載センサとさまざまなタイプのイメージャを搭載しており、これにはNIR、SWIR、サーマル、レーザ式測距およびレーダーが含まれる。車輌は、V-22 Osprey ティルトローター航空機で移送可能であり、そのカメラ制御システムで最大500の脅威を同時追跡できる。
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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/05/030-032_pp_imaging.pdf