シリコンフォトニクスが光通信と科学用レーザのチューナブル機能を拡大
半導体光増幅器をはじめとするオンチップ・オフチップコンポーネントが、小型で効率の良いシリコンフォトニクスベースのトランシーバに集積され、チューナブルレーザは通信や科学アプリケーション用に広く使われるようになってきている。
クラウドコンピューティング、ソーシャルネットワーク、新興の5G対応アプリケーションは、データセンターで膨大なコンピューティングパワーを必要とする、またデータセンターにアクセスし、データセンター間の相互接続のために大きなネットワーク容量が必要になる。このトレンドが、ロングホールからメトロネットワーク、データセンターインタコネクト(DCI)まで、大容量コヒーレント技術の採用を加速している。これら短距離DCIアプリケーション(80 ~ 100km程度)は、特に、光コヒーレントトランシーバのコスト、サイズ、消費電力に敏感である。
過去数十年、エレクトロニクス産業で起こったことと同様、集積が光コンポーネントのコストを下げ、サイズを縮小する決め手になる。結果的に、集積シリコンフォトニクス(SiPho)領域が急速に進歩してきた。SiPhoコヒーレント光サブアセンブリ(COSA)は、シリコンフォトニクスの機能統合、コスト優位性、製造容易性を示す一例である。COSAは、コヒーレント変調器と集積コヒーレントレシーバを統合し、数十の光機能を構成している。これらは、すべて、<1cm2シリコンチップ上にあり、非常に小型なデバイスサイズと低コストを達成している。
SiPho COSAの商用化成功以来、SiPho技術を使って波長チューナブルレーザを構築しようとする、次の強力な動きがある。個々の光コンポーネントを、そのようにオン・チップ集積することは、部品数を減らし、複雑さの少ないアセンブリにより、チューナブルレーザコストを一段と下がることになる。さらに、SiPhoチューナブルレーザとSiPhoCOSAとの先端的集積、コパッケージングは、次世代低コストコ ヒーレントトランシーバ向けに完全SiPhoソリューションを実現するためのパズルのラストピースとなる。
光通信に加えて、最適化されたパフォーマンスのコンパクトなSiPhoチューナブルレーザは、新しいアプリケーション領域でチャンスを拡大することにもなる。例えば、自律走行車用ライダ、バイオメディカルセンシング向けオンチップ光干渉断層画像(OCT)などである。
製品の課題
SiPhoチューナブルレーザは、コヒーレント通信や他のアプリケーションにとって、コストと空間的効率の優れたソリューションになり得るが、その商用化が成功するには、いくつかの制約がある。
まず、シリコンでの光出力は、シリコンの間接バンドギャップのために、まだ容易ではない。1つの有望なソリューションは、SiPhoチップと発光III-V材料とののバットジョイント技術による統合である。とはいえ、そのパッシブアライメントは、サブミクロン精度、高再現性とスループットを必要とする。これは非常に難しく、結果としての低いレーザパワーは、高速コヒーレント変調器の大損失を補填するには十分ではない。
第2に、シリコンキャビティ長を伸ばすことは、より多くの(非常に狭線幅)「ピュア」レーザ光を生成する簡単な方法であり、狙いはコヒーレント通信でより多くの情報を運ぶことである。しかし、フリースペースオプティクスや他の導波路、例えばシリカと比べると、シリコン導波路の伝搬損失は大きいので、長いシリコンキャビティは非実用的である。
3番目として、シリコンは、比較的大きな熱光学係数を持つ。このSiPhoレーザキャビティは、したがって、どんな熱擾乱にも極めて敏感である。例えば、環境温度変動、レーザ電流の変化である。その結果、<1GHzの高い 周波数精度のSiPhoチューナブルレー ザの実現は非常に難しい。
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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/09/D_031-033_ft_tunable_lasers.pdf