自宅で肌の若返りを可能にする1470nmダイオードレーザ
電気エネルギーを直接光に変換するモノシリック半導体デバイスであるダイオードレーザには、肌を若返らせる他のレーザ源と比較して、変換効率、サイズ、コストなど多くの利点がある。
レーザ技術は、太陽による皮膚のダメージ、傷跡、シワ、そばかすなどを効果的に治療する。1980年代に初めて美容皮膚用の炭酸ガス(CO2)レーザが開発されて以来、皮膚を若返らせるためにレーザが幅広く使用されている。その技術は、切除式から非切除式、そして現在人気のフラクショナル方式へと進化している。
皮膚の若返り目的で最初に商品化された切除式のCO2レーザは、皮膚組織内の水分を蒸発させることで最も大きな治療効果をもたらす。しかし、治療部位全体に切除レーザを照射する必要があるため回復に7〜10日間かかり、感染や長期の紅斑、痂皮形成などの副作用リスクが高い。そのため、術前または術後の処置として、抗生物質の内服、冷却、抗炎症薬の投与などが一般的に行われている。
後に登場した非切除式のレーザはこれらの問題を克服したが、その結果に一貫性がなく、しばしば予測不可能である。2004年にマンシュタイン(Manstein)らが発表した分画光熱融解(FP)(1)は、治療のリスクと副作用を軽減し、ダウンタイムもないため、今日では人気を集めている。
分画光熱融解
FP機器は切除式と非切除式の2種類に分類される。このような治療では水が主なターゲット分子になるため、一般的に使用されるレーザの波長は水に吸光されやすく、メラニンやヘモグロビンに吸光されにくい。2.79〜10.6μmのより長い波長、例えばCO2レーザの10.6μmやEr:YAGレーザの2.94μmは、水の吸光が強いために組織を蒸発させる切除式レーザである(図1)。そのため、光が到達できる深さが最小限に抑えられている(図2)。
治療では、角質層は損傷を受け、皮膚に一定の深さの小さな穴が生じる。真皮により深く到達するためには、より高いエネルギー密度が必要である。エネルギー密度が蒸発のしきい値を超えると、結果として生じる深さは適用波長とは無関係になり、エネルギーと関連する。
より波長が短い1320〜1927nmの範囲では、通常皮膚を切除しないが、熱効果によって皮膚組織が凝固する。
Er:glassレーザ(1540nm)、Nd:YAGレーザ(1320/1440nm)、ダイオードレーザ(1470nm/1550nm)は、非切除式のフラクショナルレーザ光源として最も一般的である。1470nmと1550nmにおける水の吸光は、Er:YAGレーザやCO2レーザよりも低 いが、810〜1060nmよりも比較的高い(図1)。1470nmレーザは深さ400μm、1550nmレーザは深さ1600μmといったように、これらのレーザは真皮の奥まで到達できる。非切除式の治療では、角質層は損傷を受けないため、皮膚は無傷であり、表面的な損傷は見られない。
1060nm以下の波長の光は皮下脂肪層や真皮深層まで到達するが、メラニンやヘモグロビンに強く吸光される。そのため、肌の若返りには向いていない。755〜1060nmの光は脱毛に利用できる。
1470nmダイオードレーザ
ダイオードレーザは、電気エネルギーを直接光に変換するモノシリック半導体デバイスであり、肌を若返らせる他のレーザ源と比較して、変換効率、サイズ、コストなど多くの利点がある。これらの利点により、ダイオードレーザによる肌の若返り機器は自宅で使用できるように設計されている。ここでは、肌の若返りとして家庭用の1470nmダイオードレーザの基本的な原理について説明する。
レーザによる肌の若返りは、組織内の吸光分子が異なる波長を選択的に吸光するという選択的光熱融解理論に基づいている(2)。ヒト組織内の一般的な吸光分子は、水、ヘモグロビン、メラニンである。この中でも水は組織の70%を占めており、肌の若返り治療において主要な吸光分子である。
1470nmレーザは、他の波長と比較して、水に対して適切な吸光係数があり、真皮の深さ約400μmまで到達できる。1400nm以上の波長のレーザは、目の角膜やレンズに強く吸光されるため、エネルギーが網膜に届かないことが多い。最大許容露光量(MPE)の点では、1400nmの光源は安全と考えられている。1470nmのMPEは、1400nmのMPEの100万分の1である(図3)。
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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2021/09/018-021_ftbio_laser_therapy-1.pdf