病気の発見が期待される顕微鏡スライドの加工

従来の顕微鏡で使われているスライドガラスを、より洗練されたものに変えることにより、がんなどの病気の発見がより簡単に、より成功しやすくなるかもしれない。
 豪ラ・トローブ大(La Trobe University)のチームが開発したスマート顕微鏡スライドは、サンプル内の生体構造や細胞に色をつけ、病気を発見しやすくなる(1)。
 ラ・トローブ大の他、豪ピーター・マッカラムがんセンター(Peter Mac Callum Cancer Centre)のチームも含む研究者によると、生体サンプルはほとんど透明で、通常のスライドを用いると「標準的な光学顕微鏡ではほとんど見えない」という。これまで、顕微鏡下で色のついた画像を作るには染色や染料が必要で、これらはサンプルの特性を変えてしまう傾向がある。
 「何百という正常な細胞の中からわずか数個のがん細胞を探すのは、干し草の山の中にある1本の針を探すようなものだ」と、ラ・トローブ大のブライアン・アビー教授(Brian Abbey)は述べる。彼は、特別研究員であるエウゲニウ・バラウル博士(Eugeniu Balaur)とともに加工スライドを開発した人物である。「我々の技術が目指すものは、何千という細胞から異常ながん細胞を同定することで、病理医にとってこのプロセスがより簡単かつ迅速なものにすることである」。
 具体的には、スライドの表面をナノスケールレベルの比較的単純な加工によって、細胞や生体構造が「顕著な色コントラスト」を生み出し、やがてはがんや他の潜在的な疾患を迅速に発見できる可能性がある。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2022/05/006-007_biown_sensorsbio_imaging.pdf