電子顕微鏡
顕微鏡の分解能はレンズのNAと,光源の波長によって決定される.これはレイリーの回折限界として知られている.このため,一般的な光学顕微鏡の分解能は200 nm程度に制限される.より波長の短い電子線を用いることで分解能の圧倒的向上が望まれる.電子線を用いて標本を観察する手法を電子顕微法と言う.電子線も回折の影響を受けるが,加速電圧を上げて高速化することで波長を短くすることができる.加速電圧が100 kVから200 kVとした場合,その波長は0.0037 nmから0.0025 nm程度となる.このため,原子オーダー(1 Å = 10-10 m)の分解能が得られる.
電子顕微鏡の概要を図1に示す.電子線は電子銃で生成される.真空中でフィラメントに電流を流し加熱すると,自由電子が生成される.これに加速電圧を与えることで,高速に電子を打ち出す.電子線は,電磁レンズによって収束され,標本に照射される.透過あるいは散乱した電子線は,電磁レンズによって中間像を形成する.中間像は投影レンズによって光電面に結像される.光電面において,電子は蛍光に変換され,CCDカメラなどで撮影される.
電子線は大気中での減衰が大きいため,真空中で用いる必要がある.このため,顕微鏡自体が非常に高価になってしまう.
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