理想的なレンズでは、光軸上の1点から出た光を光軸上の1点に集光する。しかし、実際は光軸上の1点に集まらず、点がボケてしまう。これが球面収差である。図1は平行光を入射した場合の球面収差の例である。
レンズの中心に近い点を通る光は、D、Eを通り焦点Fに集まる。ところが、レンズの周辺部を通る光はA、Bを通り、光軸上の点Cに集まる。中心から離れた位置を通る光は、焦点よりレンズに近い点に集まってしまい、点がボケて大きくなる。この現象は、レンズ表面が球面でできていることが原因で起きる現象のため、”球面”収差と呼ばれている。図2は様々なレンズに平行光を入射した時の、正確な光路図である。
図2を見ると、レンズ表面の曲率を変えると収差の量が変化することがわかる。また、平凸レンズでは、平行光を入射した場合、球面を物体側に向けたほうが球面収差を抑えることできる。これは、レンズの表裏面での屈折角がほぼ等しくなるためである。平凸レンズの平面を物体側に向けると、平面部分は光を収束させることができず、裏の球面部分だけで収束させることになるため、球面収差がおおきくなってしまう。
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