「被害状況は……!?」

『かの国』と通信する〝何者か〟の存在を察知した艦長が売国奴(マゴット)を発見したとの報告を受けてから数分。艦橋構造物が爆破され、艦長の生死もいまだ確認が取れていない状況だった。まさにしっちゃかめっちゃかになった戦闘指揮所中央に立ち、ブリッジに詰めている要員たちが血相を変えてモニターを注視し、各所からの報告を集めているのを眺めながら鷲尾は、気を引き締めた。

「艦橋構造部後部・信号看板が爆弾のようなもので爆破された模様。通信装置及び自動発射装置に損害発生しています」

通信手の報告が飛ぶ。

つまり《アポロン》本部との通信も、レーダーも使えなくなったということだ。まさに艦にとっての聴覚を奪われた形のいま、『かの国』の攻撃を受ければひとたまりもない。そんな絶望的状況にもかかわらず、極力、いつもと変わらぬ冷静な声を装った鷲尾は、

「艦長は?」

と要員たちを落ち着かせる意味でもゆっくりと問うた。

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