レーザードップラー血流計とは
レーザードップラー血流計は、近赤外光を照射し、皮膚表面から約0.5mmの深さにある毛細血管内血流を非侵襲で測定できる装置である。光が運動する物体に照射された場合、物体の移動速度に応じて散乱光の周波数が変化するドップラー効果を利用している。レーザードップラー血流計はまた、血流量だけでなく血球量や血流速度などを評価することも可能である。
レーザードップラー血流計の原理
照射されたレーザー光が毛細血管内を運動する物体(主として赤血球)で反射すると周波数がシフトするが、静止組織で散乱しても周波数は変化しない。シフトした光の割合は赤血球数に比例し、周波数のシフトの大きさは血流速度に比例するため、理論的には赤血球数と血流速度の積から血流量が算出できる。 生体組織に照射されたレーザー光は、生体の静止組織により後方散乱し受光器で検出される。散乱光の周波数は照射光の周波数と同じである一方、血管中を移動する赤血球などの血球細胞で散乱した光は、その移動速度に対してわずかにドップラーシフトΔfが生じる。静止組織から散乱した周波数と、このシフトした周波数f+Δfの重ね合わせにより、ビート信号(周波数Δf)が観測される。このビート周波数Δfは、血球細胞の移動スピードにもよるが、kHz~数10kHz程度であり、このビート信号を周波数解析する事によって血流量を算出する。ただし、算出される値は相対的なもので、生体組織内から光が散乱される割合は、体の部位や、組織の構造によっても異なる。 レーザードップラー血流計には以下の2種類がある。
接触型
接触型は、ある点の血流を計測する。皮膚だけでなく消化管粘膜などの微小循環を連続的に測定できる。
非接触型
非接触型は、皮膚や臓器表面といった広い範囲の血流分布を面で計測する。しかし、面をスキャンする時間を要するため連続測定はできない。
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