STED顕微鏡の概念はStefan Hell氏によって1994年に初めて発表され、その数年後に実証がなされた(SW Hel l, Nature, 440, 935-939 (2006))。それ以来、彼の研究グループはこの技術の改善を続けており、最近では新たな 生物学的所見を明らかにする手段としても貢献している(Willig, et al., 2006a; Kittel, et al., 2006)。
STED顕微鏡の光学系、簡単な原理
STED顕微鏡では、ガルバノミラー方式の共焦点顕微鏡の光学系に観察用励起光(Excitation beam)のレーザー光と誘導放出用の短パルスレーザー光( STED beam )の2種類のレーザー光をほぼ同時に照射する。図1にSTED顕微鏡の概念図を示す。ここで、STEDビームは蛍光の発生を抑制する(励起された蛍光分子を蛍光発色させることなく基底状態に戻す)ためのレーザーであり、ドーナツ状になっている。すると、STED beamにより誘導放出された光は透過側に出てるが、誘導放出されなかった真ん中の蛍光だけが反射で出てくる。これにより、反射で取得した蛍光のスポットは小さくなる。
STED顕微鏡では光の回折限界の壁である200nmの分解能を超えることができ、従来の共焦点顕微鏡の3倍以上の高分解能を得る。分解能は~40nm程度だが、6nm(xy)の分解能も報告されている(Rittweger et al., Nat. Photon. 3, 144 (2009))。
下の動画では共焦点顕微鏡とSTED顕微鏡で取得したイメージが比較されている。STED顕微鏡で取得したイメージは、ライカ社のウェブサイトで確認することもできる。
STED顕微鏡のイメージと蛍光色素
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