WDMカプラは、波長多重システムにおける合波器(multiplexer)や分波器(demultiplexer)として、または光ファイバー増幅器やファイバーレーザーにおいて、励起光を効率よく結合するための素子として用いられる。特に、複数の波長の光をそれぞれの特定ポートから入射して同一ポートから出力させたり(合波)、複数の波長の光を同一ポートから入射して,それぞれの特定ポートに波長を分けて出力させる(分波) ときに用いられる。
図1 に1310/1550nmWDMカプラの波長特性を示す。ポート3では、1550nmの波長の光を100%近く透過している。一方、1310nmの波長ではほとんど光を透過していない。ポート番号は図2を参照。
光ファイバー増幅に使用される1480/1550nm WDMカプラの場合、波長間隔が70nmと狭いため、光結合のピークの繰返し数は、1310/1550nmのカプラより多くなる。WDMカプラのスペック例を表1に示す。
項目 | 1310/1550 | 1480/1550 |
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使用波長幅 (nm) | ±15 | ±5 |
反射減衰量 (dB) | ≧50 | ≧50 |
挿入損失 (dB) | ≦0.5 | ≦0.5 |
偏波依存性 (dB) | ≦0.15 | ≦0.15 |
クロストーク (dB) | ≧15 | ≧13 |
表2:WDMカプラの溶融型とフィルター型の比較
タイプ | 溶融型 | フィルター型 |
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特徴 | ファイバーのみで構成 | 中にバルクのフィルターが入っている |
帯域を広くしにくい | 帯域を広くしやすい | |
偏波依存性がない | メーカーによっては偏波依存性がある | |
壊れにくい | 中で結合系があるため溶融型より壊れやすい | |
狭線幅レーザーに適している | 広帯域レーザーに適している |