自己位相変調(Self Phase Modulation:SPM) は光カー効果によりって起こる。SPM は光が光ファイバーを伝搬するとき、自分自身の強度に起因する屈折率変化により、位相がシフトしてしまう(位相変調を受ける) 現象である[1]。SPMの概念図を図1に示す。図1(a)は光ファイバーを伝搬する光強度を示し、(b)はそのときの光ファイバー中の屈折率変化を示す。光強度が高いパルス中心では両裾に比べて屈折率が大きくなる。

自己位相変調による周波数チャープの様子

図1:自己位相変調による周波数チャープの様子

非線形屈折率変化と自己位相変調

非線形屈折

非線形屈折とは3次の感受率χ3が存在することから生じる屈折率の強度依存性のことであり、光カー効果とも呼ばれる。光カー効果による屈折率の時間変化n(t)は下式のように光強度|E|2に比例して変化する。

光カー効果による屈折率の時間変化…式(1)

ここで,n0は媒質の線形(小信号) 屈折率,n2は非線形屈折率係数と呼ばれる定数で、石英系光ファイバーではn2 = 3.18 × 10-20 m2/W という値を持つ。

ファイバー中を伝搬する光パルスの振る舞い

屈折率n の光ファイバー中の微小距離Δz を光パルスが通過する場合を考えると、射出側での光電界の時間軸上の位相は入射側に対して遅れている。射出側での位相の変動は、真空中の波数をkとすると次式で表される。

射出側での位相の変動

従って、式(1) より位相のずれΔϕ(t) は

位相のずれ

と表され、パルス強度|E|2によって変調されることが分かる。SPMによる瞬時角周波数のずれΔω(t) は、位相のずれΔϕ(t) の時間変化率であるから、瞬時周波数のずれΔf(t) は

瞬時周波数のずれ

で与えられる(図1(c))。上式より,SPM による瞬時周波数のずれはパルス強度波形|E(t)|2の1階時間微分に負符号を付けたものに比例することがわかる。n2 > 0 の場合,パルスの前端では周波数が低下し,後端では周波数が高くなる(図1(d))。
このように自己位相変調はパルスに新しい周波数成分を生成させ、パルスを広げる効果がある。そしてその程度は光のエネルギーが高ければ高いほど大きくなることが分かる。パルスの前端から後端にかけて周波数が変化することを
チャープといい、特に周波数が高くなると正のチャープ、低くなると負のチャープを持つという。

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