光学ファイバーは光を伝送するために使うことができ、ゆえに情報を長距離に渡って伝えることができる。ファイバーを基にしたシステムにより長距離光学データ伝送は無線伝送システムに大きく取って代わった。それらは電話のために広く使われているが、インターネットや長距離高速ローカルエリアネットワーク(LANs)、ケーブルテレビ、更には徐々に建物内のより短い距離のために使われている。プラスティック光学ファイバーが有利である非常に短い距離の用途を除いては、ほとんどの場合において、シリカファイバーが使われている。

電気ケーブルに基づくシステムと比較すると、光学ファイバー通信(光波通信)のアプローチは有利であり、最も重要な利点は次の点である。

  • データ伝送のためのファイバー容量が巨大である。単一シリカファイバーは理論的容量の僅かな一部を利用することで100,000の電話チャンネルを運ぶことができる。過去30年間において、ファイバーリンクの伝送容量に関係する進歩は例えばコンピューターの処理速度やストレージ容量における進歩よりも著しく速くなっている。
  • ファイバー内での光伝搬に関する損失は驚くほどに小さい。現代の単一モードシリカファイバーに対して約2 dB/kmだから数十kmが信号を増幅することなくブリッジできる。
  • もしとてつもなく大きな伝送距離が求められている場合、単一ファイバー増幅器において大量のチャンネルを増幅することが可能である。
  • 大きな伝送速度を達成できるゆえに、単位伝送ビットあたりの費用は極端に少ない。
  • 電気ケーブルと比較して、ファイバー光ケーブルは非常に軽量である。
  • ファイバー光学ケーブルはグランドループや電磁干渉(EMI)のような電気ケーブルで起きる問題の影響を受けない。そのような問題は、例えば、産業環境におけるデータリンクにとって重要である。

非常に高いデータ伝送容量のために、ファイバー光伝送システムは、もし高いデータ転送レートが必要なら、同軸銅ケーブルを元にしたシステムよりもはるかに低いコストを達成できる。低いデータ転送レートに関しては、全伝送容量は利用されず、ファイバー光学システムは経済的利点が少なかったり、より高くつくかもしれない(ファイバーのためではなく、付加的なトランシーバーのために)。しかしながら、「最後の1マイル」(家やオフィスへの接続)に関していまだに広範囲で銅ケーブルが使用される主な理由は単純に、新たな掘削作業が付加的なケーブルを敷設する必要である一方で、銅ケーブルは既に展開されているからである。

ファイバー通信は大都市圏(メトロファイバーリンク)の広範囲にわたって既に使われており、ホームへのファイバー(FTTH)でさえ更に広がる。日本の一部では、プライベートインターネットユーザーは既に100Mbit/sのデータ速度をもつ手ごろなインターネット接続を獲得できる。現在のADSLシステムのパフォーマンス上の利点は、電気電話線を使用する点である。他の国では、建物へのファイバーケーブルの敷設のコストを避けるために、しばしば存在する銅ケーブルからより高い伝送容量を絞りだそうとしている、例えばベクタリングを用いて。しかしながら、これは一時的な解決策として見られるが、帯域幅要求の更なる増大を満足させるものではない。

遠距離通信窓

光学ファイバー通信は典型的には次の「遠距離通信窓」のひとつに一致する波長領域において制御する。

  • 最初800-900nmでの窓が使われていた。GaAs/AlGaAsを基にしたレーザーダイオードと発光ダイオード(LEDs)は送信機として使われ、シリコンフォトダイオードは受信機に適していた。しかしながら、ファイバー損失はこの領域では比較的高く、ファイバー増幅器はこのスペクトル領域については十分に開発されていない。それゆえに、初期の遠距離通信窓は短距離伝送についてのみ適している。
  • 第二の遠距離通信窓は波長3μmあたりを利用し、そこではシリカファイバーの損失ははるかに少なく、ファイバーの波長分散は非常に弱く、そのため分散広がりは最小化される。この窓はもともと長距離伝送のために使われていた。しかしながら、(例えばプラセオジム添加ガラスを基にした)1.3μmファイバー増幅器はエルビウムを基にした1.5-μmのものほどは良くはなかった。また、低分散は、光学非線形効果を増大させるので、長距離伝送にとって必ずしも理想的ではない。
  • 第三の長距離通信窓は、今では広く一般に使われている、5 μmあたりの波長を利用する。シリカファイバーの損失はこの領域において最も少なく、非常に高いパフォーマンスを提供するエルビウム添加ファイバー増幅器が利用可能である。ファイバー分散は通常変則的であるが、非常に良い柔軟性で適合させられる(→分散シフトファイバー)。

第二第三の遠距離通信窓はさらに次の波長帯域に分割される。

帯域 解説 波長範囲
O バンド オリジナル 1260–1360 nm
E バンド 拡張 1360–1460 nm
S バンド 短波長 1460–1530 nm
C バンド 従来の (“エルビウム窓”) 1530–1565 nm
L バンド 長波長 1565–1625 nm
U バンド 超長波長 1625–1675 nm

第二第三の長距離通信窓はもともと1.4  μm周辺のはっきりした損失ピークによって分割されていたが、それらはこのピークを示さない先進的な低OH含有ファイバーに効率的に結合できる。

システム設計

ファイバー光学通信システムの最も単純なタイプは単一データチャンネルを用いたポイントツーポイント接続を提供するファイバー光学リンクである。そのようなリンクは本質的に情報を光学的に送るための送信機、いくらかの距離に渡って光を運ぶための伝送ファイバー、受信機を含んでいる。伝送ファイバーは光学出力を再生成するためのファイバー増幅器あるいは波長分散効果を相殺するための分散補正器のような付加的要素を備えているかもしれない。ファイバー光学リンクに関する記事によって更なる詳細内容を得られる。

長距離伝送についての典型的なチャンネル容量はこのごろは2.5~10Gbit/sである。40,100あるいは160Gbit/sが将来使われるかもしれない。より進歩したシステムが同時に数十あるいは数百の異なる波長チャンネル(粗いまたは密な波長分割多重)を使うことによって伝送容量を増大している。主な挑戦は非線形性によるチャンネルクロストークを抑え、(例えば利得平準化ファイバー増幅器を用いて)チャンネル出力のバランスをとり、システムを単純化することである。他のアプローチは時間分割多重であり、そこではいくつかのインプットチャンネルが時間領域において入れ子にすることで結合され、ソリトンは、送られた超短パルスが小パルス間の間隔でさえきれいに分離されるのを確かにするためにしばしば使われる。

他の重要な開発として洗練されたファイバー光学ネットワークを用いて多くの異なるステーションへリンクするシステムの開発がある。このアプローチは非常に柔軟かつ強力であるが、理想的には完全に再構成可能な方法で波長チャンネルを追加または削除したり、最適なパフォーマンスを得るために定常的に接続構成を調整したり、また欠陥がシステム全体に与える影響を最小限にするために適切に欠陥を扱えるようにするなどのような些細でない技術的課題もいくつか生じる。多くの異なる概念(例えばトポロジー、変調フォーマット、分散マネージメント、非線形マネージメント、ソフトウェアについて)と新しいタイプの装置(送信機、受信機、ファイバー、ファイバー素子、電子回路)が絶えず開発されているので、どの種類のシステムが将来の光学ファイバー通信を支配するかはまったく明らかではない。

ビットエラー率や出力ペナルティのような側面の議論のために、光学データ伝送に関する記事を参照してほしい。

光学ファイバーの伝送容量

過去30年の間に、光学ファイバーの伝送容量は膨大に増えた。単位ファイバーでの使用可能な伝送帯域幅の上昇は例えばメモリーチップあるいはマイクロプロセッサーの計算能力の向上よりも更に著しく速い。

ファイバーの伝送容量はファイバー長による。ファイバーが長いほど、インターモーダルあるいは波長分散のようなより有害な特定の効果がでたり、得られる伝送速度が低くなったりする。

数百mあるいはそれ以下(例えばストレージエリアネットワークの範囲内)の短い距離に関して、マルチモードファイバーを利用することは、導入(例えばコアエリアが大きいため、接合がより簡単)が安価なため、しばしば便利である。伝送技術とファイバー長によって、数百Mbit/sと約10Gbit/sの間のデータ速度を得る。

単一モードファイバーは典型的には数kmあるいはそれ以上のより長い距離に対して使われる。最近使われた商業用遠距離通信システムは典型値で10kmあるいはそれ以上の距離にわたってデータチャンネルあたり10Gbit/sあるいは40Gbit/sを伝送している。最も新しく使用可能なシステム(2014年製)は100Gbit/sへ届き、将来のシステムは単位チャンネルあたりより高いデータ速度、例えば160Gbit/s、を使うだろう。要求される総容量は通常ファイバーを通して僅かに異なる波長を用いて多くのチャンネルを伝送することによって得られる。これは波長分割多重(WDM)と呼ばれる。総データ速度は、同時に数百万の電話チャンネルを伝送するのに十分な、1Tbit/sを超え得る。その容量でさえ光学ファイバーの物理限界にははるか及ばない。加えて、光学ファイバーは多重ファイバーを含められることに注意してほしい。

結論として、ファイバー光学データ伝送に対する技術的限界は予見される未来において厳しくなることは気にすべきではない。対照的に、データ伝送容量は例えばデータストレージや計算機の処理能力といったものよりも速く進化したという事実は、広大な送電網に接続された数多くの発電所からの電力を使うことが普通になったのと同様に、これらの技術的限界は早晩、時代遅れとなり、大容量データネットワークにつながれた高速処理や大容量データストレージが広く使われるようになるだろうと、ある人達には示唆を与えている。そのような発展はデータ伝送の限界によるものよりもソフトウェアとセキュリティ問題によってより厳しく制限されるだろう。

光学ファイバー通信にとってのキー要素

光学ファイバー通信システムはたくさんのキー要素に依存している。

  • ほとんど半導体レーザー(しばしば VCSELs)、ファイバーレーザー、光学変調器を基にした光学伝送器
  • ほとんどフォトダイオード(しばしばアバランシェフォトダイオード)を基にした光学受信機
  • 損失、誘導特性、分散、非線形性に関して最適化した特徴を持つ光学ファイバー
  • 分散補正モジュール
  • 長いファイバー長に渡って十分な信号出力を維持するための、あるいは信号検出器前の前置増幅器としての、半導体とファイバー増幅器(主にエルビウム添加ファイバー増幅器、時にラマン増幅器)
  • 光学フィルター(例えばファイバーブラッググレーティングを基にした)と光学カプラ
  • 光学スイッチと多重化装置(例えばアレイ導波路回折格子を基にした)。例:WDMシステムにおいて波長チャンネルを合成分割可能にする光学分合波多重化装置(OADMs)
  • 電気的に制御された光学スイッチ
  • 信号再生成(電子的または光学的再生成)、クロック再生、その他同種類のもののためのデバイス
  • 例えば信号処理やモニタリングのための多様なエレクトロニクス
  • システム操作を制御するためのコンピューターとソフトウェア

多くの場合において、ファイバー通信にとっての光学部品とエレクトロニクス部品はフォトニック集積回路上でつながる。この技術領域における更なる進歩が光学ファイバー通信が一般世帯(→ ファイバーを家庭へ)と小規模オフィスへ広がることを助けるだろう。

参考文献

[1] N. A. Olsson, “Lightwave systems with optical amplifiers”, J. Lightwave Technol. LT-7, 1071 (1989)
[2] D. O. Caplan, “Laser communication transmitter and receiver design”, J. Opt. Fiber Commun. Rep. 4, 225 (2007)
[3] International Telecommunication Union (ITU), https://www.itu.int/home/index.html
[4] G. P. Agrawal, Fiber-Optic Communication Systems, John Wiley & Sons, New York (2002)
[5] H. J. R. Dutton, Understanding Optical Communications, https://www.redbooks.ibm.com/pubs/pdfs/redbooks/sg245230.pdf, IBM Redbooks
[6] Illustrated fiber optic glossary, https://www.fiber-optics.info/glossary-a.htm
[7] R. Paschotta, tutorial on “Passive Fiber Optics”

 

参考

https://www.rp-photonics.com/optical_fiber_communications.html