この記事では自由空間、透明な均質媒質中、導波管あるいは光共振器における光の伝搬モードについて議論する。あるいは、「モード」という用語はモード発振をも意味し得る。例えば、連続波モード同期、Qスイッチ、単一周波数発振がある。そのような情報については、レーザー発振のモードに関する記事を参照してほしい。

ビームが自由空間や均質媒質を伝搬する際、横の強度プロファイルは概して伝搬中に変化する(図1参照)。しかしながら、伝搬中、自己無撞着な特定の電場分布が存在し、モードと呼ばれている。言及された定義において「自己無撞着」が何を意味するのかは状況による。異なる状況について続く節で議論する。

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Figure 1: シミュレーションしたレーザービームの強度プロファイル進化。プロファイル形状は伝搬中に変化している。これはモードについての場合ではないだろう。

自由空間モード

自由空間(もしくは光学的に均質な媒質)における数学的に最も単純な種類のモードは平面波である。平面波は媒質中の光の位相速度に見合う光学周波数を波長にかけるだけで与えられる波動方程式を満たす。進行方向への伝搬中、もし媒質中で光学的損失や利得が起こる場合、平面波は振動位相とあるいは振幅だけを変化させる。

平面波は数学的に非常に単純ではあるが、横への有限の広がりを持つため、実際に生じるどのような波にも似ていない。それゆえ、横の空間次元において制限されている他の種類のモードがより興味深い。そのような最も単純なモードがガウシアンモードである。ガウシアンビームは伝搬中に拡大または収縮するが、ガウシアンの場合は振幅プロファイルが横次元にスケールされるだけで一定の形状をもつ、という意味において自己無撞着である。

各ガウシアンモードはモードファミリーのなかで唯一最も単純なものであり、無限数のモードを含む。最も頻繁に使われるモードファミリー(モードシステム)はエルミートガウシアンモードとラゲールガウシアンモードである。そのようなモードファミリーにおいて、ガウシアンモードは基本的なモードであり、一方で他の全てのモードは高次モードと呼ばれより複雑な強度プロファイルを持つ(図2参照)。伝搬中、各高次モードの横拡大は基本モードの横拡大に比例して変化する。

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Figure 2:  TEM00(下左手側)からTEM33(上右手側)までの低次のエルミートガウシアンモードの強度プロファイル。二つのモードの指数はそれぞれ水平方向と垂直方向において強度分布の交わる0の数を表している。

光の周波数と光軸、焦点位置、焦点におけるガウシアンモードのビーム半径、全ファミリー例えばエルミートガウシアンモードの発生のそれぞれの組み合わせに対して注意してほしい。

導波管モード

導波管は空間的に波を伝える非均質構造である。導波管における光の伝搬に関して、あるモードに対する自己無撞着性の条件は自由空間モードの条件より厳しくなる。つまり横次元の複雑な振幅プロファイルの形は実際に一定に保たなければならない。いかなる再スケーリングも許容されず、全体の位相だけ変化し、総光学出力の損失と利得は両方とも伝搬定数によって表される。

導波管は有限の誘導伝搬モード、導波核周りの有限拡大をもつ強度分布をもつ。誘導モードの数、横振幅プロファイル、伝搬定数は導波管の詳細と光の周波数に依存する。単一モード導波管(例.単一モードファイバー)は偏光方向ごとに単一の導波モードだけをもつ。多重導波管の例として、図3は多重モードファイバーの全LPモードの横プロファイルを示している。

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Figure 3: トップハット屈折指数プロファイル(→ ステップ指数ファイバー)と11.4のVナンバーを持つファイバーの全導波モードに関する電場振幅プロファイル(cos lφ と sin lφの間の違いは無視している)。2色は電場の異なる信号を表す。図はRP Fiber Powerソフトウェアを使って作成された。

導波管はクラッディングモードも持ち、その強度分布は本質的には全クラッディング(と核)領域を満たす。光学ファイバー(単一モードファイバーでも)はたくさんのクラッディングモードを持ち、それらはしばしば実在するクラッディングの外側のインターフェースでの伝搬損失を表す。

光学ファイバー(フォトニクス結晶ファイバーを除き)はたいてい放射のような対称的な屈折プロファイルを持ち、核とクラッディングの間の比較的小さい屈折指数コントラストも持つ。その場合、モードをLPモードとしてかなり正確に表すことができ、それは数学的にはより単純に表せるので一般的には実際に使われる。

放射のような対称的な屈折指数プロファイルに対して、軌道角運動量モードという興味深い現象も存在する[4,5]。それらは光子スピンにも回転偏光方向にも関連しない角運動量を運ぶ。波面は螺旋構造を表す。これはビーム中心で0強度を持つモードに関してのみあり得る。例えば0ではないlをもつLPモードである。

ファイバーと他の導波管のモードはいわゆるモードソルバーを用いて数値的に計算され、それはファイバーシミュレーションソフトウェアの一部となり得る。導波管が放射状に対称なプロファイルでかすかに導かれているかどうかによって、異なるレベルの複雑さとかなり異なる計算時間を持つモードソルバーアルゴリズムが要求される。光学ファイバーのモードソルバーは、純粋なLPモードに対して制限されるとき、一般的な2次元モードソルバーよりも数字の上ではより単純かつ早い。

共振器モード

(導波管を用いずバルク光学素子から作られた)光学共振器における光について、モードに対する自己無撞着条件はまた異なる。モードは全共振器の往復後だけ実際の(再スケーリングなしの)横振幅プロファイルを再生成しなければならない。つまり往復の間、モードプロファイルはサイズも形すらも変化するだろう。他方で、光学位相もまた1往復後に再生成されなければならない。すなわち、総位相変化は2πの整数倍されなければならない。全体の光学出力はもし共振器における光学損失または利得があるなら減少または増加するだろう。

位相条件により、共振器モードは特定の光学周波数(共振周波数)に対してのみ存在し得る。一般的に、往復位相ずれはモードの強度パターンによる。それゆえ、異なる高次モードは異なるモード周波数のセットを持ちうる。幾何的に安定な共振器のより単純な場合においてガウシアン形状かつ高次横モードを持つ基本的な(軸)モードが存在する。例えばエルミートガウシアン形状である。不安定な共振器もモードを持つが、はるかに複雑なモード特徴を持つ。

共振器モードに関する記事には更に詳細な内容が載っている。

モードコンセプトのアプリケーション

多くのフォトニクス装置において、光は単一モードにおいてだけ伝搬する。例えば、レーザーの単一モード発振はレーザー共振器の単一モードだけが励起されたことを意味する(つまり、膨大な光学出力を運んでいる)。もしレーザー発振モードがガウシアンモードなら、出力は回折限界に近づく。つまり、その出力は理想的なビーム品質を持つということである。他の例として、クラッディングモード(非導波モード)に放たれた全ての光はファイバー端に届く前に消失すると想定すると、単一モードファイバーは出力における一定の強度プロファイルを保証する。単一モードファイバーのモードは普通ガウシアンの形状に近い形状をしている。

他の場合において、異なるモードへ伝播するすべての光を分解することはしばしば便利である。その分解は各モードのいくつかのモード振幅(複素数)がたいていいくつかの重複する指数を使って与えられた光領域について計算されることを意味する。そのような手続きの基本的な利点はどのように全てのモードが伝搬しているのか、各モードに関して、わかるということであり、伝搬定数から計算できる位相変化と、あるいは光学出力におけるいくらかの変化だけが存在する。全強度と位相プロファイルはそのときいかなる位置においても異なるモード条件を足し合わせることで単純に計算される。この手続きは数値シミュレーションを極めて単純化できる。多数の振幅、きれいな格子上の多くのサンプルを用いた二次元光学領域分布の例の収集、は相対的に小さい数のモード振幅(励起係数)に置き換えられ、ゆえにしばしば必要なコンピュータメモリーと計算時間の両方を著しく減らす。

モードコンセプトは、伝搬条件がモードが計算された条件から多少ずれていても有用である。そのような場合、モード結合が起こる。いくつかのモードからの光はある一つのあるいは他のいくつかのモードに結合しうる。これはたいていモード振幅に関して結合された異なる数式を用いて表される。そのようなモード結合は例えば高い光学強度での非線形相互作用または導波管を伝わる外部からの擾乱によって起こりうる。

参考文献

[1] E. Snitzer, “Cylindrical dielectric waveguide modes”, J. Opt. Soc. Am. 51 (5), 491 (1961)
[2] D. Gloge, “Weakly Guiding Fibers”, Appl. Opt. 10 (10), 2252 (1971)
[3] A. Yariv, “Coupled-mode theory for guided-wave optics”, IEEE J. Quantum Electron. 9 (9), 919 (1973)
[4] L. Allen et al., “Orbital angular momentum of light and the transformation of Laguerre–Gaussian laser modes”, Phys. Rev. A 45 (11), 8185 (1992)
[5] M. J. Padgett, “Orbital angular momentum 25 years on”, Opt. Express 25 (10), 11265 (2017)
[6] R. Paschotta, tutorial on “Passive Fiber Optics”, Part 2: Fiber Modes
[7] R. Paschotta, case study on fiber modes

 

参考

https://www.rp-photonics.com/modes.html